研究課題/領域番号 |
23653121
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
辻 竜平 信州大学, 人文学部, 准教授 (40323563)
|
研究分担者 |
長谷川 孝治 信州大学, 人文学部, 准教授 (20341232)
|
キーワード | 文化資本 / 社会関係資本 / 教育 / クラシック音楽 / クラシック音楽祭 / オーディエンス調査 / 中学生調査 |
研究概要 |
平成24年度は,主として2つの調査を行った.2つの調査を通じて,文化資本と,社会関係資本や家庭・学校での教育との関係を明らかにしようとした. 第1の調査は,「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」(以下,音楽祭)のオーディエンスを対象とした質問紙調査である.4つのコンサートの開始前に質問紙を配付し,後日郵送にて回収した.全部で2000票配付し,回収は300票あまりであった.この調査では,クラシック音楽を聴くようになったきっかけ,クラシック音楽に対する考え方,作曲家の好み,音楽祭にともに参加した人や身近な人々について(ネーム・ジェネレータ)などを尋ねている.これによって,獲得された音楽の知識や趣味が,周囲の人々からどのような影響を受けているのか,といったことが分析できる.データは入力後,グループ内のメンバーに配付し,各自で分析を進めた.1月には研究合宿を行い,分析結果の報告とコメントを相互に行った. 第2の調査は,「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」の中で行われる長野県内の中学1年生を対象としたオペラ(以下,オペラ)に参加した生徒に対する調査である.オペラに参加した中学校6校に依頼し,都合3度にわたって調査を行った.1回目はオペラ鑑賞の約1週間前に,2回目はオペラ鑑賞の約1週間後に,3回目はオペラ鑑賞の約半年後に実施した.全部で1200票弱が回収された.これらの調査によって,事前のクラシック音楽の知識の有無によってオペラに対する関心を持つ程度が違うのか,事前と事後でオペラやクラシック音楽に対する関心が高まったのか,また,関心はどのくらい継続するものなのか,といったことが分析できる.1回目と2回目の調査については,データ入力後メンバーに配付し,各自で分析を進めた.1月の研究合宿で,分析結果の報告とコメントを相互に行った.また,その合宿において3回目の調査票を検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画どおり,クラシック音楽の好みを尋ねる尺度,音楽祭にともに参加する人々との関係についてのネットワーク・バッテリの開発を経て,音楽祭のオーディエンス調査を行った.さらには,申請時には予定していなかった中学生を対象とした調査も行うことができた.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,アウトプットを出す年度となる.春の合宿では,昨年度行ったオーディエンス調査と3度にわたる中学生調査のデータを確定するとともに,その分析結果について相互に発表と批判を行い,日本社会学会等の学会発表へとつなげていく.さらに,秋または冬の合宿では,学会発表等のコメントをもとにして分析を見直したものを持ち寄って,相互に発表と批判を行いつつ,最終報告書へ向けて論文の執筆を行っていく予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には,データの入力作業が予定より安価であったことから今年度に経費を持ち越した.そのため,平成25年度は,研究会の予定を1回から2回に増やし,学会発表と最終報告書の論文をよりよいものにするために充てる予定である.
|