本研究では、過疎地域を中心として地勢等の異なる地域コミュニティを対象として防災ワークショップを3件開催し、他に、地域の自主防災組織からの聞き取りを中心とした調査を3件実施した(他に行政への聞き取り3件)。防災ワークショップについては、海岸部1件(黒潮町)、津波の浸水予想区域外の平野部1件(高知市内)、山間部1件(四万十町)を実施し、自主防災組織からの聞き取りについても、ほぼ同様の地域を選択して実施した。 地域毎の防災意識の特徴としては、海岸部については津波被害に対する危機感が極めて強く、逆に地震動に対する住民の意識がやや低いという傾向が顕著であった。山間部においては、土砂災害や集落の孤立に対する意識が強く、それに伴って地震動に対する意識もどちらかと言えば高いという傾向が顕著であった。津波の浸水区域外の平野部においては、地震動に対する意識は中程度からやや高い傾向にあるものの、危機意識が薄い傾向が見て取れる。ワークショップについては、それを念頭に置いて実施した。 ワークショップの基本的内容は、1.対象地域の地震災害予測に関する解説、2.東日本大震災の教訓に関する手短な解説、3.街歩きによる危険箇所の点検、4.参加者の自宅内部の危険に関するワーク、5.対象地域の自主防災組織としての課題および行政支援のポイントの抽出の五点とした。また、ワークショップの事前・事後にアンケートを実施し参加者の防災意識の変化を研究した。参加者は、自主防災組織の役員等だけでなく、「一般住民」を6~7割以上含む形で実施したが、(1)当該地域の地震災害に関する正確な知識の習得が進んだ、(2)当該地域コミュニティの防災対策上の課題と行政支援の要望などに関し具体化が進んだという結果が得られた。 以上のような内容につき、報告書を印刷予定である他、ワークショップの概略をまとめた論文を刊行した。
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