いわゆる「新華僑」とは1980年頃以降に留学、仕事などで来日した中国人のことであるが、家族を伴って日本に来たものも多い。本研究は幼少時に親とともに来日し、日本で成人した「新華僑二世」のアイデンティティを探ろうというものである。9人の「新華僑二世」の分析用インタビューデータが得られた。当然、9人が持つアイデンティティには違いがあるが、一つ共通点があった。それは日本と中国両方のよいところと悪いところを見事なまでに客観視できるということである。それは日本と中国、二つの国が融合したアイデンティティを持つ者のみが持ちうる資質であると思われた。
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