漁村地域では日本社会が直面している高齢社会の問題が先行的に顕在化している。しかし、漁場の共同管理や村張り定置に代表されるように、生産の共同性を背景として成り立ち、互いの生活を知り尽くすような強い連帯感を形成してきた漁村社会の特徴は、高齢社会を乗り越える強みにもなりうると考えられる。 本研究では、これまでも地域の中で高齢者支援活動を担ってきた女性組織を取り上げ、その課題と今後の展望について考察した。その結果、担い手である女性組織自体の高齢化や、活動の後継者の不在という課題を抱える一方で、これらの活動が経済活動と結びつき、女性たち自身の糧となっていく可能性を有することが明らかとなった。
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