研究課題/領域番号 |
23653137
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
山崎 晶子 東京工科大学, メディア学部, 准教授 (00325896)
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研究分担者 |
山崎 敬一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80191261)
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キーワード | 会議場面 / 言語的行為と身体的行為の協調 / ワークプレース / 断片化 / 相互行為分析 / 会話分析 / フィールドワーク / ワークの実践 |
研究概要 |
24年度は、大別して三つの活動を行った。 1,様々なワークプレースを比較研究するために、ミュージアムや高齢者施設での既存データの調査研究を行った。高齢者施設におけるケアワーカーの複数のタスクの処理のありかたを、高齢者との相互行為において考察した。特に、高齢者の発話のタイミングと介護者が主に行っているタスクの終了を観察し、その結果を考察した。これらの分析は、論文として発行する予定である。2,会議場面の分析:協同組合と企業における会議場面の比較を行った。前者は開始時間は決まっているが終了時間が決まっておらず、後者は議事進行が参加者に見える形で提示され開始時間も終了時間も決まっていた。しかし、この二つの会議において共通することとして、参加者の身体配置と視線が発話の順番取りに関わっていることを発見した。この分析も論文として発表する予定である。3,ワークプレースの観察:研究協力者の所属する企業でのビデオ撮影を行った。 本研究の意義 1,「サービス場面」でのワークの実践の可視化。様々なワークプレースにおける行為を、複数のタスクとその遂行という観点から分析を行った。それによって、「サービス場面」におけるタスクの遂行と、通常の「ワークプレース」におけるワークの実戦のありかたの違いを明らかにした。2,言語的行為と身体的行為の協調。ワークプレースにおいても、実験場面においても、相互行為において人間は言語的行為と身体的行為を協調させている。オフィスなどのワークプレースでは、身体の配置があらかじめ決められていることが多い。この身体の配置によって、身体的行為が言語的行為と協調することが困難になることを示した。この知見を出発点として、遠隔会議やオフィスでのフリーアドレスの問題にも取り組む予定である。3,フィールドワークを通したワークの実践の明確化。ワークの断片化をはじめとしたワークの実践を、説明可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度は、企業側の協力が得られたため、フィールドワークを行うことが可能だった。そして、その会議場面を学生の協力を得て、分析を行い、ワークの場面における視線をはじめとする身体配置の重要性を見いだすことができた。また、企業側でも、研究会を行い、われわれの研究の成果をともに検討することができた。 しかし、十分なデータを得るために必要な長期間に及ぶフィールドワークは、一連の研究会を行い理解を得た後に認められた。そのため、フィールドワークの回数がやや不足した。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は総括年に当たるため三つの方策をとる。 1,フィールドワークの実践:25年度は1年間、フィールドワークを行う。ミュージアムでの相互行為場面、高齢者施設などでのサービス場面を、オフィス環境でのワークの実践と比較分析して、その特徴を解き明かす。 2,ワークの多相性の解明:総括年としてワークの分断化や複層的なタスクのありかた、整序や順番のありかたを相互行為分析において明らかにする。 3,フィールドへの還元:協力をしていただいたフィールドに、分析の結果を示し、日常の実践として社会学者からの知見を示す。またフィールドでの対象者との議論を通じて、われわれの知見が対象者の実感と適合するか、またそれを説明することが可能であるかを検証する。さらに、フィールドでのワークの実践の円滑化に協力を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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