今回の現地調査は大きく二つの目標のもとに実施された。ひとつは従来からの課題である離島社会の町おこし、村おこしに関する取組み、離島におけるその特色などのヒアリングの継続的な現地調査である。もうひとつは今回主力を注いだもので、軍用地料の実態調査すなわち日本政府によって毎年支払われる軍用地料の沖縄県配分に関する文献的、資料的かつ実態的な調査である。 現地調査は当初想定したすべての市町村を対象に行った。宜野湾市に始まり、北谷町、嘉手納町、うるま市、北中城村、沖縄市、読谷村、そして本島から離れた独立町村である離島の伊江村、渡嘉敷村の各自治体における軍用地料関係の部署を訪問、ヒアリングを行った。 町おこし、村おこしに関しては石垣市(石垣島)および竹富町(小浜島)において実施した。前者に関しては竹富町役場が石垣島に所在するためである。現在竹富町建設課職員である通事(とうじ)太一郎氏は、これまでの竹富町調査においてご協力を頂いたが、今回は沖縄県における八重山と本島との行政的連携や両者間の社会意識などを中心にヒアリングを行った。 また、小浜島では水産庁の補助金を得て行われている「活力ある漁村づくり」のモデル育成事業の経過と成果報告を聴取した。この事業は「細崎ま~る新鮮隊」と命名された二人の若い漁師(比嘉誠・大城洋一)による地域おこしの3年間にわたる活動で、その総括が学識経験者(東京海洋大学教授婁小波、近畿大学教授日高健)やコンサルタント(プラネット・フォーまちづくり推進機構中村良三)を交えて行われたが、我々の研究課題に大きく役立つ情報であった。 さらに軍用地料に関してその賃借料の算定方法など国がどのような仕組みのもとに行っているのか、これを聴取すべく防衛省本省に飛んだ。東京市ヶ谷にある防衛省地方協力局施設管理課にヒヤリングを行った。
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