研究課題/領域番号 |
23653141
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
石田 淳 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (40411772)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 質的比較分析 / ブール代数 / エージェント・ベースド・シミュレーション / ナショナル・アイデンティティ |
研究概要 |
本研究課題は、ブール代数分析を前提とした調査設計に基づいた質問紙調査を実施し、人びとがもつ社会的カテゴリーイメージをブール代数式として把握・分析するという新しい分析手法を確立することを目的とする。さらに、経験的研究の成果を受けて、さらにイメージ生成過程を一種のエージェント・ベースド・モデルとして表現することを試みる。具体的には、「日本人」という社会的カテゴリーについてのイメージを取り上げ、(1)ブール代数分析の社会的カテゴリー研究への応用可能性、(2)「日本人」イメージの分布とナショナリズムの関係性、(3)イメージ生成に関する理論的考察、を解明目標とする。 先行研究のレビューをまず重点的に行った。主に、社会学・社会心理学における社会的カテゴリー研究や社会的認知研究をレビューし、既存理論の整理と批判的検討を行った。さらに、日本におけるナショナリズム、ナショナル・アイデンティティについての量的調査研究についてレビューした。また、ISSPの国際比較調査データやJGSSデータなど、利用可能な調査データの二次分析を実施し、「日本人」イメージ生成についての理論枠組みと作業仮説の整理を試みた。また、ブール代数分析を含む質的比較分析の最新の発展状況について、イギリス・マンチェスター大学のWendy Olsen氏を始め、内外の研究者からの情報収集とアイデアの交換を行った。なお先行研究のレビューと同時並行して、平成24年度に実施する調査の調査設計についての検討を実施する予定であったが、時間が足りず詳細な検討までには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度に実施する質問紙調査に向けて、先行研究のレビューや先行調査の二次分析については比較的順調に進展したものの、本プロジェクト外の理由により当初予定していたよりも、十分な時間を割くことができず、調査設計の詳細な検討までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に実施する調査に向けて準備を進める。当初計画では本調査を9月頃実施と見込んでいたが、計画が若干遅れていることから冬期を目標に計画を進める。夏までに一度、大学生を対象とする200サンプル程度の規模のプレ調査を実施する。調査結果の分析では特に、質問の答えやすさや複数の質問間のロジカルエラーの発生傾向をチェックする。こうした結果を受けて、本調査に向けて質問票の再設計を実施する。あわせて、インターネット調査による本調査に向けて、調査会社の選定と計画サンプルの設定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施するインターネット調査の調査委託金を確保するために、今年度は請求額よりも少ない額の消化にとどめた。次年度使用額と次年度請求額を合わせた相当の部分をインターネット調査費用に割り当て、サンプルの質と数の確保に努める。
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