研究課題/領域番号 |
23653143
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
二階堂 裕子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (30382005)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 社会学 / 「非定住型」外国人 / 社会的統合 / 技能実習生 / ベトナム |
研究概要 |
本研究では、外国人技能実習生を対象とする日本語学習支援活動に着目しながら、在日外国人と彼/彼女らをとりまく日本社会の現状の一端を解明したうえで、「非定住型」外国人を視野に入れた社会的統合のあり方とその成立条件を検討することを目的としている。とりわけ、近年、日本との経済的連携が深まっているベトナムに焦点を当て、ベトナム人技能実習生と彼/彼女らの受け入れ企業、および日本語学習支援を行っている団体などを対象とした調査研究を実施している。 平成23年度は、特に、ベトナム人技能実習生の生活実態や送り出す側の社会状況を総合的に捉えることに力点を置いた。そのため、平成23年8月および平成24年3月にそれぞれ5日間、ベトナムのホーチミンにおいて予備的な現地調査を実施した。1回目の訪越では、7人の元技能実習生に対して来日までの経緯や日本での経験、帰国後の生活などに関するインタビューを実施したほか、元技能実習生を雇用している日本企業の現地法人の工場を訪問し、代表者に対するインタビューも行った。また、2回目の訪越では、6人の元技能実習生に対するインタビューを実施したほか、現地に進出した日系企業で、現在元技能実習生を雇用している会社を訪問し、実状などを調査した。また、日本へ技能実習生候補者を送り出す派遣機関や、来日を希望するベトナム人のための日本語学校を訪れ、これらの機関がどのような方針のもとで、どのような教育を実施しているかについて、情報収集を行った。 以上の現地調査を通じて、ベトナム人技能実習生の生活構造を総合的時系列的に理解し、実習の経験や日本語学習に対する主観的意味を探ることができた。また、ベトナム社会の現状に関するデータを収集することにより、彼/彼女らの国境を越えた移動を促す社会的経済的要因について検討を加えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、ベトナムにおける2回のフィールドワークを実施することにより、なぜ多くのベトナム人が日本での実質的な労働者となることを希望するのか、また日本での経験が彼らの帰国後の労働や生活にいかなる影響を与えているのかについて、理解を深めることができた。また、今日のベトナム社会、とりわけ大都市であるホーチミン市では、都市化とグローバル化の進行が著しいこと、そしてそれらがベトナムの経済状況や人々の生活・意識にきわめて大きなインパクトを与えているようすなどが見て取れた。現地調査によって、こうした社会変動とベトナム人の国際移動の関連を見出すことができたほか、日本政府が実施している外国人技能実習制度の現状と課題を再検討することができた点は、23年度の大きな成果であると考える。 一方、日本国内における日本語学習支援活動の現状や、その活動にかかわる主体(NPO、技能実習生の受け入れ組合・企業)については、十分なデータ収集を行うことができたとは言えず、24年度以降、精力的に調査研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究実績をふまえ、今後は外国人技能実習生や社会的統合に関する国内外の先行研究の検討と関連資料の収集、および外国人受け入れ施策に関する資料の収集を引き続き行なう。また、兵庫県内において日本語学習支援活動を実施している団体や、そこで学ぶ技能実習生の就労先企業などに協力を依頼し、インタビュー調査や参与観察を実施するとともに、ベトナム人技能実習生に対する生活史のインタビュー調査を行なう。これらの調査を重ねつつ、技能実習生の生活を取り巻く現状や、日本語学習支援活動における相互連帯を支える内的要因を把握する。 これらに加えて、ベトナムの首都、ハノイ市におけるフィールドワークを実施し、ホーチミン市での調査からこれまでに得た知見を検証したい。具体的には、技能実習生送り出し機関やそこでの登録者、すなわち、技能実習生として来日を希望している人々に対してインタビュー調査を行ない、海外就労を選択した動機や現地での生活などについて丹念に聴き取る。また、日本で技能実習を経験し、ベトナムに帰国した人々にもインタビューを行ない、技能実習生として日本で習得した技術やホスト社会の人々と交流した経験などが彼/彼女の帰国後の人生にいかなる影響を与えているのかを探っていく。 こうしたデータ収集と並行して、今後はそれらの分析にも重点的に取り組み、滞在期間を制限された、いわば「非定住型」の在日外国人と日本社会の望ましい関係について考察する。この作業により、今日、外国人技能実習生が直面している火急の諸課題について解決の糸口を探るとともに、より包括的な社会的統合モデルを提示する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、パソコンの購入を予定していたが、他の研究費をこれに当てたため、物品費の支出額が予算額を下回った。また、業者に依頼していたインタビュー記録の音声起こし作業が年度内に終了しなかったため、支払いが発生せず、その分の費用(およそ14万円)は平成24年度研究費から支出することになった。 平成24年度も、音声起こし作業にともなう費用を前年度と同額程度見込んでいる。また、ベトナムでの現地調査を実施するため、旅費として約40万円を執行する予定である。
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