研究課題/領域番号 |
23653148
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
長谷川 芳典 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (80183086)
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キーワード | QOL / 高齢者 / 人付き合い / おひとりさま / 介護 / 園芸療法 / ダイバージョナルセラピー / 孤独 |
研究概要 |
24年度は、千葉県、東京都、大阪府、岡山県、香川県、山口県、熊本県の高齢者施設(老健、サービス付き高齢者向け住宅、病院認知症病棟、グループホーム、デイサービス)において、人付き合いを好まない高齢者の生活環境、および面接調査を行った。また、施設内における園芸活動や、デイサービス施設におけるはめ込みパズル型(立体型を含む)遊具の利用について予備的調査を行った。これにより、高齢者のQOLを向上・維持させるための複合・階層モデルの基本となる強化因や相互強化システムの事例をいくつか集めることができた。 これらの調査結果の一部は、24年9月に行われた日本質的心理学会年次大会で発表、また、24年12月刊行の岡山大学文学部紀要において公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去2年間の高齢者施設入居者・利用者を対象とした調査、および関連研究の文献資料収集を通して、日々の生活環境や人付き合いのスタイルのあらましを把握することができた。これらの調査結果は、人付き合いをあまり好まない高齢者のQOLを向上・維持させるための複合・階層モデルの構築に有用であった。 なお、これまでの調査は、高齢者施設入居者とデイサービス利用者に限られている。在宅で人付き合いを好まないお年寄りは、原理的に、聞き取り調査などには応じてくださらないため、対象者に含めるのが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度にあたるため、体系的でまとまった成果をめざす。 これまでの調査研究や文献資料収集の中で、日々の生活における「選択」の位置づけと、人付き合いを好まない高齢者における園芸活動の効用が特に重要であることが分かってきた。これをふまえて、今年度は、高齢者の利用者が、日々の生活においてどのような選択機会に接しているか、園芸活動にどの程度参加しているのか(集団または個人)を中心に、人付き合いを好む高齢者と、あまり好まない高齢者の比較調査を行うこととしたい。 また、前年度に引き続き、学会年次大会や各種研究会に参加し、研究発表と、各種情報入手につとめていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の方針施策をふまえ、最終年度の研究費は、引き続き、各種高齢者施設への調査(交通費、大学院生の雇用による調査)、調査の記録と分析に必要な機器、学会発表および参加のための旅費の支出を主体とし、それ以外には、論文執筆に必要な文献資料(図書等)の入手、論文執筆に必要な機器の購入などに使用する予定である。
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