自閉症者の日常生活や社会生活の質を高めることを目標に、地域包括支援の進展を目指す方策を案出することを目的とした調査による研究をした。 平成23年度は、①家族は自閉症者のコミュニケーションや社会適応が困難なこと、及び学校や福祉施設等による支援が障害特性に対応できていないこと、②生活支援員は自閉症者のコミュニケーション、日常生活、外出等において状態に応じた支援を必要と捉えていることが考察された。平成24年度は、発達障害者支援センターの職員は自閉症児者の状態を広く捉えていること、自閉症児者の状態を状況把握の困難さ、障害の特性、及び適応行為の困難さに関する視点から見ていること、及び意思疎通と適応行動の難しさに関心を向けていること等が明らかとなった。このため、地域社会で自閉症者の生活を支援するうえで、人間関係を通して発達を促したり行動を発展させたりするように広く配慮する必要性が示唆された。平成25年度は、地域の自閉症の支援者は、①自閉症児者の障害特性に関することを全般的に捉えようとしていること、その際「表現することの難しさ」、「理解することの難しさ」、「コミュニケーションの難しさ」の視点があり、この順に関心を向けていること、及び②自閉症児者の支援の場に関することを全般的に捉えようとしていること、その際「自立生活に関する支援」、「余暇生活に関する支援」の視点があり、この順に重視する傾向があること示された。これらは、地域社会における青年期・成人期の自閉症者に対する地域包括支援を行う上で重視すべき知見と考察した。 以上より、地域社会における青年期・成人期の自閉症者に対する支援の方向性が明らかになったと考えられる。
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