研究課題/領域番号 |
23653152
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
神山 裕美 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (80339473)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | オクスフォード州 / イングランド / 英国 |
研究概要 |
平成23年度の研究成果は以下のとおりである。(1)英国中央政府のチルドレンセンター政策・チルドレンセンター評価調査・チャイルドプロテクトに関する報告書等と、オクスフォード州地方政府の実施体制と事業内容等の資料を取集し、これまでの経過をまとめ、中間報告を作成した。 (2)現地調査調整の実施にあたり、調査項目や調査計画を作成し、現地研究協力者より指導・助言をいただきながら修正を繰り返した。それを基に、オクスフォード州チルドレンセンター関係者と調査への説明や依頼を行い、調査への了解をいただくことができた。 (3)政策研究では、オクスフォード大学の社会政策・社会介入学科の子ども家族政策セミナーや、オクスフォードブルックス大学のソーシャルワークセミナーや関連科目の講義への参加を通して、同じ領域の研究者や実践者との交流を深め、研究を進めるネットワークを形成することができた。 (4)現地調査は、調査先や対象者の都合に合わせ、平成24年度から開始するよう準備することができた。このように、平成23年度は本研究を進めるための現地での準備に時間をかけたが、これらを通して現地の研究者や実践者とのネットワークでき、24年度からの研究に活用することができた。本研究は、個別事例からそれらを支えるサービスやシステム形成まで、重層的に広がる体系を現地調査により明らかにして、その仕組や方法を分析しようとする研究である。そのキー概念としてコミュニティソーシャルワークの枠組みを活用するが、個別支援だけでも政策研究だけでもない、新たなコミュニティソーシャルワークの研究枠組みが提起できるのではないかと考える。また、調査を行うための言葉の習得も、本研究を通して以前より改善できたが、これは平成23年9月より24年9月まで山梨県立大学よりいただいた特別研修により現地滞在できたことによる効果が大きかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)イギリスの子ども家庭分野の支援は、ソーシャルワーカーが法的責任と義務を持って支援・介入する点が日本との大きな違いである。また子ども虐待等で悲惨な事件があった後はそれを政府レベルで検証し、システムやサービスの改善に生かす点も大きな違いであり、日本が学ぶ点は多い。しかし多職種連携については英国もうまくいっていないが、連携研修プログラムの法的位置づけ等、日本にない点もある。このように、イギリスのチャイルドをプロテクションの政策と実践の実態は、徐々に把握できている。(2)チルドレンセンターの実態調査を行う上で、外国人研究者が現地関係者へ説明し合意をいただくまで時間がかかった。しかし、それらを通じて大学や実務関係者とのネットワークができ、平成24年度の研究を進めるうえで役立った。また、州政府の主催する法的な多分野連携研修についても参加する許可をいただき、全体の仕組とともに、実務者視点で内容を把握することが期待できる。(3)現在、各課題への情報を集めている段階なので、包括的な視点での理論や枠組み形成には至っていない。しかし今後の研究により、日本での推進や教育等に寄与できるよう努力したい。
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今後の研究の推進方策 |
(1)現地調査を実施する。1点目の、ソーシャルワーカー業務の参与観察とインタビュー(面接・訪問・会議・グループワーク・調整等)については、面接と訪問の同行はプライバシー保護のためできないが、それ以外はできる予定である。2点目のチルドレンセンター他スタッフ業務の参与観察とインタビュー(保育士、保健師、幼稚園教諭、就労支援員等、事務職員等)は、チルドレンセンターフタッフを紹介していただくので、本人の了解が得られれば可能である。3点目の、継続的な事例収集と支援方法の調査については、中央や州政府が研究や研修用に困難事例をまとめているのでそこから調査できる。また、実務者からの事例を聞き取る場合は、プライバシー保護に配慮する。4点目の、チルドレンセンター担当地域のアセスメント(地域特性・社会資源・人口動態・住民組織等)と社会資源把握は、州や地域の統計資料等から把握できる。5点目の、地方政府チルドレンセンター担当者へのインタビューは担当者を紹介していただく予定である。6点目の、多分野協働の職員研修・教育プログラム調査と参与観察等は、州政府の研修プログラム(OSCB)に参与観察の予定である。(2)現地調査後はデータ整理し、研究協力者の指導助言を受けながら調査報告書案を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度も研究協力者や現地関係者の指導・助言・協力を得るので謝金を支出したい。また、現地調査を行う際、英語が聞き取りにくい場合もあるので通訳謝金を確保したい。さらに現地調査を実施するので、旅費が必要である、昨年度、渡航先でラップトップパソコンが壊れ、物品費を予算以上に支出したが、これは旅費より流用したい。
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