20世紀後半から今世紀にかけ,高度福祉社会が実現しつつある.これはグローバルな広がりとなっているが,我が国は先進諸国に比して障害者の社会へのインクルージョンに関して遅れを取っている.本研究では情報障害や移動障害のために社会的不利が大きく,またその障害特性のために提供される職業機会などからも除外されることの多い視覚障害者を対象とした.視覚障害者に対する聴き取り調査等から,視覚障害者の優れた能力とその形成過程を検討し,発達の可能性と支援のあり方を示し,今後の共生社会形成への課題と展望について検討した.その結果,家族支援と社会支援,コミュニティ支援の各要素の存在とバランスの重要性が指摘された.
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