研究期間内で取り組むものとして挙げた、①全国にある在宅就業支援団体(厚生労働大臣登録団体)、在宅勤務・在宅就業を支援する団体のうちで、精神障害者を支援する団体を対象にした実地調査とその分析、②就労実績をもつ障害者福祉事業所に対する就労に向けた支援方法・体制についてのアンケ-ト調査および実地調査、③在宅勤務制度を導入し、精神障害者を雇用している企業へのヒアリング調査を実施した。 結果、ヒアリング調査を通して、テレワークを希望する精神障害のある人たちは増加しているが、テレワークの対象者としての社会的認知は低く、企業での先駆的な取り組みはあるものの広がりはまだ見えない。 その要因としては、まず、在宅就業障害者支援制度の抱える課題が多く、そのメリットのなさから登録支援団体が一向に増えないことである。つぎに、障害のある人たちの就労に関わる機関が統一されておらず、制度利用にあたっての窓口も複雑で一貫性がないことである。これはわが国の縦割り行政の弊害であるが、早急の課題として実現可能なことは、在宅就業障害者支援制度における登録支援団体の位置づけを明確にし、少なくとも福祉施設と同等な財源的保障を行うことである。このことによって、非登録支援団体の登録が飛躍的に進むはずである。 さらに、地域の福祉施設との交通整理の役割を担う機関の必要性である。障害者就業・生活支援センターは、医療、教育、福祉そして雇用に関係する機関の連絡調整および総合的援助を行うこととされている。全国に設置されている障害者就業・生活支援センターに求められている業務が遂行できるよう機能強化を図ることであろう。
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