本研究の目的は、子ども虐待のケースに携わる児童福祉司等の社会福祉専門職のための研修の実態や対応事例について、全国レベルで網羅的に把握し、それらをWebデータベース化し、検索活用システムを構築することである。また、開発したシステムの普及及び評価を行うことを目的としている。本年度は、「子ども虐待情報共有システム」の開発および評価を行った。 開発したシステムは、Web型のデータベースで、どこでも利用しやすく、迅速に情報提供やモニタリングができる。メニューは、今後行われる子ども虐待等の研修・公開講座・学会・イベント等を検索・閲覧できる「研修・イベント情報」、過去の研修等の映像記録・解説・レジュメを検索・閲覧できる「研修・イベント記録」、地方自治体の子ども虐待対応マニュアル等を検索・閲覧できる「子ども虐待対応マニュアル」、事例を虐待の種別、意思決定場面、子どもの年齢、虐待者等の詳細検索ができ、事例と解説が表示される「ケース対応事例」、自分の持っているケースのリスクを測ることができる「リスクアセスメント」の5つがある。5つのメニューは連動しており、各メニューで一度入力したデータは必要に応じて他のメニューで参照したり、転記したりすることができる。 システムの構成は、利用者モードと管理者モードに分けられ、さらに利用者モードでは、メンバー登録をせず一部の情報を閲覧できる「ゲスト」と、メンバー登録することにより詳細な情報を閲覧・登録・編集できる「メンバー」に分けられており、閲覧できる情報や利用できる機能の権限分けができるようになっている。 開発したシステムについて児童福祉司等による評価を行った。その結果、本システムの有効性および課題が明らかとなった。本システムを開発・評価したことにより、今後の改良・普及に向けた方策を立てることができた。
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