研究課題/領域番号 |
23653167
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
杉原 陽子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (80311405)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 社会福祉関係 / 高齢者 / セルフ・ネグレクト / 地域支援 / 民生委員 |
研究概要 |
本研究は、健康や安全の維持に必要な物や支援を意図的・無意図的に得ることができていないセルフ・ネグレクト(以下、SN)の事例の実態把握、並びに当事者や地域住民の視点からSN事例への支援を考察することを目的とする。 当初の研究計画は、都内の一自治体において住民基本台帳から65歳以上の住民を抽出し、配票留置訪問回収調査によってSN事例をスクリーニングし、その事例に聴き取り調査を行うことを計画していた。しかし、予算的な問題により大規模な訪問回収調査が困難となったため、より低コストで効率的にSN事例を把握できるよう、調査対象者を民生児童委員に変更した。即ち、(1)東京都内の民生委員で経験年数が3年以上の人を対象に郵送による質問紙調査を行い、SN事例への関わりとその事例の状況等を把握する、(2)了承が得られた民生委員には聴き取り調査も行い、SN事例の詳細と地域住民としての支援、必要とされる制度的支援等について調査する、(3)許可が得られた場合はSN事例の当事者にも聴き取り調査を行い、当事者の意識や支援ニーズを探る、といった方法に研究計画を変更した。 現在の到達状況は以下である。(1)SNの状況を把握する測度の検討:近年日本においても開発されているが、米国で開発された測度と比較すると「衛生」「環境」「医療・介護ニーズの未充足」という次元は共通するものの、日本の研究者は「孤立」の概念をSNの測度に導入しているが、米国では「孤立」はSNの概念に含めていないという違いがある。SNの概念定義に基づくと、SNの事例は「孤立」している場合が多いものの、「孤立」がSNの要件には当たらないと考えられる。(2)民生委員に対する質問紙調査の準備と実施:SNの状況把握のための調査項目とともに、民生委員の支援活動状況ややりがい感に関連する個人・地域レベルの要因を分析できる調査票を作成し、現在実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
科研費に応募した時の請求金額が減額されたため、研究計画を変更せざるをえなかった。新たな対象者に調査を行うため、関係機関との調整に時間がかかり、当初の計画よりもやや遅れている。しかし、平成24年度末には当初の目的を達成できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように研究計画を変更したことにより、本研究が対象とする「地域住民」の範囲が「一般の地域在住の人」から「民生委員」へと狭まったが、民生委員はセルフ・ネグレクト等の見守りを必要とする要援護事例に対する重要な支援者であるため、より効率的・効果的に情報を得られると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
民生委員に対する質問紙調査や聴き取り調査の実施、SN事例に対する聴き取り調査の実施、及びこれらの調査データの解析に、経費を使用する。
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