円滑なコミュニケーションを支える認知能力として、他者認知、意図認知、行動制御の柔軟性を取り上げ、齧歯類(デグーとラット)を対象として、これらの認知能力を測定する行動実験の提案とこれらの認知を支える脳基盤を明らかにすることを目指した。他者認知に関して、デグーは住環境を共有することによる親しさによる識別を行い、他者の視覚的手掛りを利用した選択行動をする可能性が示唆された。また、警戒音声に対するデグーの反応は、集団と単独で受信した場合で異なることから、警戒場面での行動が他者の存在の影響を受けることが分かった。行動制御の柔軟性には眼窩前頭皮質が関与することがラットを対象とした実験で明らかになった。
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