研究課題/領域番号 |
23653182
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
守 一雄 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30157854)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 中学生 / 同調行動 / 成績 / 社会的地位 / fMORIテクニック / アッシュ同調実験 / 知覚課題 / 集団圧力 |
研究概要 |
申請者が開発した映像提示トリック(fMORIテクニック)を用いて,4人の被験者のうち,3人にはある長さに見える線分がもう1人にだけは違って見える状況を作り出す。これをAsch型同調実験に活用すると,サクラなしのAsch 型同調実験(fMORI-Aschパラダイム)ができる。この新しいfMORI-Aschパラダイムでは,サクラを用いる必要がないため,従来実施が困難だった真の仲間集団内での同調行動が調べられる。そこで,本研究では中学生を被験者に同じ学級集団内での成績上位者下位者間での同調行動を検証することを3年間の研究機関に行うこととした。初年度の2011年度は、研究協力者である長野市の中学校教諭・内田昭利さんと共同で、成績上位群と下位群の同調率を調べる実験を実施した。この実験では、中学生を定期考査の成績で上位群中位群下位群に分け、上位群の多数派に下位群の少数派がどれだけ同調するか、逆に、下位群の多数派に上位群の少数派がどれだけ同調するかを調べた。中位群の生徒は比較のための統制条件として中位群だけでグループを作り、中位群の少数派が中位群の多数派にどれだけ同調するかを調べた。その結果、予想通り、成績上位者が多数派を占めるグループの中の成績下位少数派は、成績中位だけのグループの少数派よりずっと同調することが多いことがわかった。また、成績下位者の中の成績上位者は少数派であってもほとんど同調しないこともわかった。ただし、この結果は多数派と少数派の成績の差によるものか、あるいは少数派の成績だけが同調の要因であるのかははっきりしない。そこで、来年度は、同じ成績グループ内での同調行動を調べる実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載の計画通りに実験を行い、予定したデータの収集ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度および平成25年度は,平成23年度と同様の手続きにより,fMORI-Aschパラダイムによる実験を繰り返す。最終的には,中学3年生男女それぞれについて,上記の4条件でのデータが10-12組分ずつ採取できることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年には,平成23年度のデータについてノルウェイのオスロで開催されるInternational Conference on Applied Psychologyでの成果発表を行う。平成23年度と同様の実験を中学校で行うため、謝金、実験打ち合わせ会議のための旅費など、ほぼ平成23年度と同様の経費を必要とする。ただし、実験機器のほとんどは昨年度のものをそのまま使用できると考えられるため、物品費はあまり必要ではない。
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