研究課題
申請者が開発した映像提示トリック(fMORIテクニック)を用いて,4人の被験者のうち,3人にはある長さに見える線分がもう1人にだけは違って見える状況を作り出す実験手法によって中学生における同調行動の生起条件を実験的に検証した。これはAsch型同調実験を、サクラを使わずに実施することに相当する(fMORI-Aschパラダイム)。この新しいfMORI-Aschパラダイムでは,サクラを用いる必要がないため,従来実施が困難だった真の仲間集団内での同調行動が調べられることに注目した。そこで,本研究では中学生を被験者に同じ学級集団内での成績上位者下位者間での同調行動を検証することを目的とした。fMORI-Aschパラダイムによる中学生の同調実験を3年計画で実施することとし、中学3年生について,性別x成績上位下位x多数派少数派の8条件についてのデータ収集を行なうこととした。多数派3人+少数派1人の4人ずつのグループを12グループ作り,8条件に割り当てる。3年計画とするのは,必要となる被験者総数384名(8条件x12グループx4人)に対し,実験協力校の中学3年生定員が約180名であり,そのうち成績上位者下位者を上位34%程度下位34%程度とすると約130名しか確保できないためである。平成23年度には計画通り3年生での実験が行えたが、平成24年は、実験協力校側の都合で中学校1年生での実験しかできなかった。それでも、計画通りに8条件についての実験を中学生男女計144人について実施した。実験結果は、成績下位者が同調しやすいことを明らかにした。この成果は、第16回実験社会科学カンファレンスで口頭発表した他、平成25年6月にオランダのロッテルダムで開催されるSARMAC(記憶認知応用研究学会)の定期総会で口頭発表する予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
計画以上に順調に推移している。計画されていた中学生での実験はほぼ終了した。実験結果の分析も順調に進んでいる。成果の研究発表も計画通りに行われる。
当初計画された実験はすべて終了したので、実験結果の分析と成果発表を残すだけとなった。平成25年6月に国際学会で発表を行った後、成果を国際専門誌に投稿する予定である。
該当なし
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World Academy of Science, Engineering and Technology
巻: 68 ページ: 272-275