生涯教育としての英語の教授学習にかんして,実践を通したアクションリサーチにより,その効果的な方法を探った。研究機関の2年7ヶ月にわたり,毎週土曜日に2時間,地域の中高年住民を集まってもらい英語学習会を開催してきた。当初は,観光ガイドに必要となる英語(ESP)の教授を目指したが,動機づけの維持が困難であったため,参加者の興味関心を重視した教養英語の学習会とした。具体的には,映画やドラマの台本を映像を見ながら購読するという内容であった。研究期間中の通算開講回数は80回以上,平均参加者は10名(最終的な参加者数は19名),生涯学習活動として一定の成果と豊富なデータを得ることができた。 しかし,本研究者の予測以上に,生涯学習においては,学習者一人ひとりの状況が大きく異なっており,また考慮すべき要因も学校英語教育とは比較にならないほどの多岐にわたっていた。誰一人として同じような状況と動機で学習会に参加していた人はいなかった。アンケート調査やインタビュー調査の結果から,いくつかの因子および仮説を得られたものの,最後まで一般化や証明が可能な学術的な知見を得ることははできなかった。いずれにしろ,仮説止まりという形で本研究期間が終了し,研究費を受けながら,ワーキングペーパーという形でしか成果を公表できなかったことの責任はすべて本研究者にある。 研究期間終了後も,参加者が学習会の継続を強く希望しており,筆者も今後も一定の成果が得られるまで本研究課題に継続して取り組んでいく予定である。
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