研究課題/領域番号 |
23653192
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
河原 紀子 共立女子大学, 家政学部, 准教授 (90367087)
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研究分担者 |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)
外山 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
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キーワード | 授乳・離乳 / 指針 / 食発達 / 養育行動 / 文化比較 / フランス / 国際情報交換 |
研究概要 |
本研究は、授乳・離乳に関する厚生労働省の指針(ガイド)が病院(産科)、保健センターにおける指導や母親による食の養育行動等にどのような影響を与えているかについて、地域間による比較および日仏の文化比較を行い、よりグローバルな視点で食の問題を捉えようとするものである。 このような視点に基づき、今年度は次のような研究活動を行った。第一に、質問紙の回収状況について把握した。その結果、調査地である東京都下の病院(総合病院、産婦人科、助産院対象)は96部、保健センターは21部回収でき、大阪府以下の病院は、72部、保健センターは14部回収された。これに対し、母親の質問紙の回収率は、1歳半健診における配布への協力自治体が少なかったため、東京について追加の配布依頼を行った。第二に、回収された質問紙の仮集計を行い、各地の結果を全国調査の結果と比較検討を行った。その結果、東京と大阪では次のような違いが見られた。それは、病院における「両親学級の開催」について大阪では実施しているところがほとんだったが、東京では大阪と比べると相対的に少ないこと、大阪では授乳期間が長い傾向や母乳に対する指導が東京よりもより積極的であることなどであった。この結果は、全国調査の結果とも共通する傾向であった。第三に、フランス・トゥールーズ市における調査では、少数の病院・産院に限定して、その施設の医療スタッフとそこを受診する母親を対象に調査を実施し、産科スタッフから約20部、母親からは約80部程度の調査用紙が回収された。 今後、日本における地域差の検討、日仏の文化差についての検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、東京、大阪の調査用紙の配布は順調に進み、全国調査の結果も合わせて仮集計ができたため。また、回収率が悪かった母親のデータについての一部は、追加で調査用紙の配布・回収ができた。フランス・トゥールーズ市においても病院・産院の医療スタッフおよび母親への調査用紙の配布・回収ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、日本では、病院・産科の医療スタッフおよびその施設利用者である母親を対象に追加調査を行い、フランスでは、日本のデータと同様に、トゥールーズ市内の病院・産院および保健センターへの調査用紙の配布を行う予定である。これらの調査結果を基に、国内各地域の病院・産院、保健センターにおける指導の共通性・多様性の抽出、母親の授乳・離乳の特徴について明らかにするとともに、フランスとの比較検討を行う。また、授乳・離乳の指針(ガイド)や指導のあり方が母親における食の養育行動、信念等にどのような影響を与えているか、そのプラス面、マイナス面さらに、地域独自の育児環境や育児文化、母親自身の特性、家族構成などとどのように関連しているのかについて、明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究協力者(則松宏子氏)との研究打ち合わせのための日程調整がうまくいかず延期となったため、その旅費等を中心に予算を次年度に繰り越すこととなった。 今年度は、データ収集を終えた段階での研究打ち合わせとフランスにおける授乳離乳の指導の実際を捉えるために、旅費として使用することを予定している。 また、追加の調査を行うため、その郵送費やデータ入力等のための謝金として使用する予定である。
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