研究概要 |
本研究の目的は、擬態語による性格記述と関連する個人的要因や社会的要因を、調査・面接・実験によって明らかにし、日常的なコミュニケーションでの擬態語による性格記述の特徴と機能について考察することである。 1.擬態語性格尺度および短縮版の作成: 擬態語性格尺度を構成し、公表した(小松ら, 2012)。擬態語性格尺度は、“臆病さ”“緩やかさ”“几帳面さ”“不機嫌さ”“淡白さ”“軽薄さ”の6下位尺度×10項目(計60項目)からなり、自他の性格評定に使用できる。また、60項目版をもとに30項目の短縮版(6下位尺度×5項目)を作成した(小松ら, 2012; 酒井ら, 2012; 向山ら, 2012)。 2.擬態語性格尺度による同性友人ペアを対象とした調査: 大学生345名のデータのうち、研究参加者の自己評定・研究参加者による友人評定・友人の自己評定の3種のデータに不備のない215名(男子23名、女子192名)の評定平均値を比較した。臆病さ・緩やかさ・不機嫌さ・軽薄さでは自分より友人を低く評定し、几帳面さ・淡白さでは自分より友人を高く評定する傾向がみられ、自分より他者をポジティブに評価する傾向(小松ら, 2012)が確認された。 3.擬態語による性格表現の使用実態および関連要因の検討: 現職教員と教員養成課程学生を対象とした調査を行い、役割や場面による性格表現の違いを検討した(小松, 2011)。また、ペア評定への参加者のうち半構造化面接に参加した33名について、ペア評定と面接のデータを対応させ、擬態語による性格表現の使用を関係性や場面等から検討した。さらに、ペア評定結果と価値志向性尺度との関連を検討した。 4.擬態語の性格表現に関する理論的考察: 擬態語による性格表現の特徴、特に情動との関連に着目し、集団や関係性の中で児童の性格がどのように表現され、機能しているかを考察した(小松, 2013)。
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