全国の児童養護施設へのアンケート調査と、その結果を踏まえて詳細なインタビュー調査を K 県内の児童養護施設 3 カ所にて実施した。 調査の結果、以下の点がわかった。 児童養護施設は入所時に見通しを持って子どもを入所させる訳ではない。児童虐待が親子関係の病理によるにもかかわらず、子どもと保護者の関係性の修復や保護者への指導には困難さを感じている。また、被虐待児への対応は難しいと感じている。児童指導員や心理療法士などの職員のストレスは大変高く、特に子どもの問題行動や保護者への対応の困難さによると感じている。心理療法士は他の専門職員からの理解がなされにくく、心理療法だけではなく、コーディネーターの役割を期待されているなど内部であるゆえの連携の難しさがある。これらの児童養護施設の構造的問題を解消するために、施設外の地域に親子合同治療を目的とした「療育センター」(ファミリー・ケア・センター)を設置して、児童養護施設の機能分化をして、地域全体で虐待への支援を行うという「包括的な地域型支援モデル」について高い評価を得た。
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