コンピュータロールプレイングゲーム(コンピュータRPG)がどの程度普及し,好まれているかを257名の大学生を対象として調査した.その結果,コンピュータRPGは89.9%の大学生に認知されていることがわかった.また,0~10の得点範囲でどの程度コンピュータRPGが好きかを問う質問への回答は平均6.6点,プレイした本数の平均は8.2本であった.本調査の結果から,コンピュータRPGは大学生に広く普及し,好まれ,プレイされていることがわかった. この結果と,コンピュータRPGは抑うつ予防のための自助ツールとしてワークブックやウェブサイト上のプログラムといった従来の自助ツールよりも大学生に好まれたという昨年度までに行った研究結果から,コンピュータRPGは大学生に対する抑うつ予防のための自助ツールのメディアとして適していることが示唆された. 今年度は,前年度に作成した認知行動療法にもとづいた抑うつ予防のためのコンピュータRPGを,大学生のテストプレイヤーの意見を参考にしながら改良を重ね,完成させた. 抑うつ予防を目的とした自助ツールとしての従来のコンピュータプログラムは,ワークブックをモニタ上に再現したものであり,テキストを読むことやテキスト入力などの課題が求められ,ユーザーにとって煩雑であった.本自助ツールはワークブックの再現を目的とせず,ゲームのストーリーや発生するイベントにそってプレイすることで,ユーザーが自然に認知行動療法を学習することをコンセプトとした.プレイヤーは主人公を操作し,ゲーム中に出会う他のキャラクターからアドバイスを受けるという形式で認知行動療法を学習する.学習の理解はゲーム中に出題される選択問題で確認し,学習したことをアイテムとして獲得してテキストを見直すことができる仕組みになっている.
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