”故人との絆”とは近年悲嘆研究の領域で注目されている概念で,死別後も故人との関係が永続していると感じられることを指す。これは多くの日本人に受け入れられている考え方だとされているが,一方で都市化が進む中で受け入れられなくなっているのではないかという指摘もある。そこで,本研究では,故人との絆のあり方に地域風土がどのように影響を及ぼしているのかを明らかにするため,祖霊崇拝の風土が色濃く残る津軽地方及びそのような風土があまり強くないと考えられる北海道,それぞれ出身の学部学生に面接調査を実施した。その結果北海道地方に比べて津軽地方出身の学生では,故人との絆を認める傾向が強いことが示された。
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