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2011 年度 実施状況報告書

縦断的研究による学力を構成する生態学的要因の解明-臨床教育学的観点による

研究課題

研究課題/領域番号 23653209
研究機関聖徳大学

研究代表者

都築 忠義  聖徳大学, 児童学部, 教授 (80236926)

研究分担者 相良 順子  聖徳大学, 児童学部, 教授 (20323868)
宮本 友弘  聖徳大学, 教職研究科, 准教授 (90280552)
家近 早苗  聖徳大学, 児童学部, 准教授 (40439005)
松山 武士  聖徳大学, 教職研究科, 教授 (10439002)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード縦断的研究 / 知能 / 学力 / 自己評価 / 興味・関心 / 生態学的調査
研究概要

研究計画に基づき、平成8年から平成23年までに聖徳大学附属小学校に入学した児童に対して実施された知能検査、学力検査の結果の分析と、平成24年3月には在学生4、5、6年生に対する自己評価尺度、興味・関心検査を実施した。また、在籍する全学年に対して性格検査(投映法)を実施した。 教研式知能検査、学力検査結果を整理しデータ化するのには、入力ミスを最小限にするために念入りにチェックした結果、データ化完了が大幅に遅れてしまった。入力の結果、平成8~平成18年入学の児童は両検査とも当初計画した6年間の追跡データとして用いることが可能となった。詳細な分析は24年度分として、23年度の方針であった概略的な分析結果を述べる。知能検査においては、教研式知能検査で測定された「知能」は1年生から6年生にかけて有意に上昇する、ただし5年生ではやや低下する、との結果が得られた。蘭ら(1984)の結果と類似している。 学力検査においては、同様に学力偏差値は1年生から6年生にかけて有意に上昇しているが、各科に特徴がみられた。「算数」と「理科」は類似している。両者とも、5年生で学力偏差値が最大になり6年生では低下する。「社会」は単調に上昇する。「国語」は1年生から3年生までは緩やかに下降し、4年生で上昇に転じ、5年生で横ばい、6年生で有意に上昇するパターンであった。知能偏差値の6年間の推移と最も類似しているのは「国語」であり、4科目の合計の推移パターンが、次いで知能偏差値パターンと類似していた。蘭ら(1984)は、藤田(1982)を引用し、発達と学習構造は5年次に変化するのでは、と推測しているが、結論は24年度以降の知能・学力の詳細な分析に待つ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成8年度から平成18年度までの入学児童の6年間分の知能検査結果と学力検査結果をデータ化し入力を終えた。また、平成19年から平成23年入学の在学児童から得られた知能検査結果と学力検査結果をデータ化し入力した。更に予定した自己評価検査、興味・関心検査、性格検査(投映法)も当該児童に対して実施した。 入学時から卒業時までの6年間を確実に追跡できた児童の知能検査結果、学力検査結果を分析した。知能、学力ともに6年の間に有意に上昇するとの変化を明らかにすることができた。また、学力の変化では科目により異なり、「算数」と「理科」は5年生まで上昇し、6年生でやや低下する。国語は3年生までやや下降する。4年生で上昇し5年生で低下、6年生で再び上昇する。「社会」では緩やかに上昇する、などの結果であった。このような大まかではあるが、分析結果が得られたことは、23年度の研究目標を達成できたといえる。なお、これらの比較は全て、知能偏差値、学力偏差値と偏差値を用いているので全国平均と比較可能である。 次に各種の検査を実施したが分析中である。分析は平成24年度に持ち越したものの実施できたことは目標を達成できているといえる。 達成できなかった目標は、当該年度の学会出張である。平成23年度の日本教育心理学会などの学会発表に、データの整理が間に合わず学会発表は平成24年度以降となった。 児童についての、保護者と担任による「見立て・期待」に関する調査は、関係者(小学校校長、担任など)から保護者に十分に理解されていないといえ時期尚早とされ、平成24年度以降に、実施することとなった。

今後の研究の推進方策

全体の知能検査結果、学力検査結果の6年間の変化(上昇、下降を含めて)をより詳細に分析する。蘭ら(1984)は藤田(1982)を引用し発達段階と学習構造が5年次に変化する、と述べているが、どのような知能構造が変化し、また変化しないのか、学習構造では、各学科の変化しやすい特性、変化しにくい特性があるのかを詳細に分析するのが平成24年度の目的となる。 平成23年度で得られたデータを基に、学力変化パターンを作成する。作成した学力変化パターンから在籍児童の知能検査結果、学力検査結果を予測する。知能から推測される学力期待値と実際の学力偏差値との関係を分析し、両偏差値の差を生じさせる要因を多方面から分析する。 在籍児童のデータに関しては、平成23年度の学級コホート、学年コホートに分け、それぞれの特性を分析する。これらの結果と、各検査で得られた個人特性に基づいて担任と面接し、学力の上昇した児童、下降した児童の特性を把握し、より詳細に分析する。その結果に基づいて、より適切な学習支援法を開発する。 児童についての保護者・担任による「見立て・期待」の調査を10月頃に実施し、保護者や担任が当該児童をどのように見立てているのかを把握し、これらと学力の変化の関係、動機づけとの関係を検討する。 平成24年度の日本心理学会、日本教育心理学会で研究成果を発表する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は、データが整えられず学会発表を中止した。このため、主として旅費に繰越金が発生した。次年度は国内旅費(学会参加費)として日本心理学会(会場:専修大学:川崎市)、日本教育心理学会(会場:琉球大学)に研究協力者と参加し研究成果を発表する計画であるため、繰り越さずに使用できる予定である。 謝金(データ処理)として、随時施行する検査結果の入力を依頼する。 データ解析ツールとして、統計解析ソフトSPSS;PASWを購入する。 その他として、各種心理検査用紙を購入する。

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公開日: 2013-07-10  

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