研究課題/領域番号 |
23653210
|
研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
近藤 俊明 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (60337459)
|
研究分担者 |
出口 保行 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (30460306)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 国際研究者交流 / アメリカ / 不登校 / 予兆傾向 / 不登校の機能カテゴリー / 不登校の予防 |
研究概要 |
本研究は、児童・生徒の不登校を予測させる行動を3年間縦断的に調査し、不登校の予兆傾向、予兆行動を同定すること、それらをもとにして、不登校の予防方法を見出すことを目的としている。 現在、Kearny(2002)の不登校査定尺度(子ども用、保護者用:本研究のために翻訳)を用い、2中学校、4小学校の児童・生徒、および彼らの保護者をを対象に、2年間分のデータを収集。H22年度のデータを用い、不登校行動の4つの機能カテゴリー、またはそれらを構成する質問項目に対する回答と、欠席、遅刻、早退数との相関を検証した。4つの機能カテゴリーにおいても、また、個別の質問項目においても、各学校の学年レベルで多くの有意な相関がみられた。このことから、一般の児童・生徒の中にも、多くの不登校傾向を有する者がいることが判明した。 この結果を、各学校の校長、教頭にフィードバックしたところ、彼らが理解している、各校の不登校の傾向・パターンと一致するとの意見も得られた。 このような結果が得られたことから、元来、アメリカの児童・生徒の不登校の特性を検証するために作られたKearny(2002)の不登校査定尺度は、日本の一般の児童・生徒の、不登校傾向、又は予兆行動に対して、センシティブであることが検証されたといえる。また、この不登校査定尺度の、本研究における使用が妥当であることの根拠が得られた。 H23年度のデータは、現在、H22年度と同様の分析を行い、かつ、H22年度のデータとの相関を検証する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3年間のデータ収集に基づくものであるが、その2年間分が現在得られている。最初の1年間分のデータは、統計的に分析され、研究方法の妥当性が確認された。そして、その、部分的な結果は,H23年度の日本心理臨床学会(福岡)において、発表された。また、1年分のデータを検証、まとめたものは、H24年度のアメリカ心理学協会(APA)の年次大会(アメリカ、オーランド)において発表予定である。 本年度は、得られたデータをさらに分析、H22年度との関わりを検証する予定である。 次年度のデータ収集は、参加校6校の校長、教頭、および、地域の教育委員会の了解を得られている。各校の教員、また教育委員会とも、良い協力関係を維持している。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、現在収集している昨年度のデータをまず単独で、H22年度と同様の分析を行うことである。また、同時に、H22年度とH23年度のデータの相関も検証する。 本年度の7~9月にかけて、最後の質問紙を用いたデータ収集を行う。そして、H25年4~5月には、その年度の欠席数、遅刻・早退数を収集し、最後の分析を行う。3年間の、各学校、個人の、不登校査定尺度によって得られた不登校の機能カテゴリーに基づく数値の変化と、欠席数等との関係を分析する。 これらのことを行いながら、各校で、不登校の予防方法を話し合い、少しずつ実行に移してゆく。最初は、1校をモデル校に選定し、可能なことから実施し、徐々にほかの学校でも、それぞれの学校のニーズに応じて、方法を検討してゆく。 研究者のみならず、研究者の所属している大学の学生、各校の教員、教育委員会、保護者、そして、児童・生徒自身との協力関係を形成し、将来的に各校が自律的に、不登校の予防を行えることを目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1.データ入力、解析の外注費用。2.成果の印刷、製本代。3.成果発表。4.予防的介入謝金。5.海外研究協力者のコンサルテーション費。
|