研究課題/領域番号 |
23653211
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
久保 陽子 仁愛大学, 人間学部, 講師 (50600251)
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キーワード | 小児がん経験者 / 心理ケア / 臨床心理学 / 心理検査 / 半構造面接 |
研究概要 |
小児がんの治癒率が上がり、治療後社会復帰していく小児がん経験者が年々増加してきている。しかし、小児がん経験者には晩期障害をはじめ、家族や友人関係の問題や復学・就業などの社会的問題などさまざまな困難があり、近年ようやくそれらに対する取り組みが始まったところである。本研究では、小児がん経験者への心理ケアのあり方を臨床心理学的な観点から検討するために、小児期に小児がんなどの過酷な入院治療を経験した方々の、治療後の心理的変化について臨床心理学的観点から明らかにすることを目的としている。 今年度は、入院治療の経験者を対象にした心理検査と半構造面接と、保護者への経験者の様子を尋ねるアンケートから構成される調査研究を計画、実施した。心理検査には文章完成法、顕在不安尺度、エゴグラムを用いた。半構造面接は退院後からの経過(気持ちの変化)、現在の生活や充実感、自分や家族などについて尋ねた。対象者の多くが大病をした通院中の方々になることから、心身の負担を軽減するために、小児がん経験者を対象にした先行研究者や医療現場で治療に携わる医師と討議を重ねて検討した。 この調査研究については平成25年度も引き続き実施し、心理検査と半構造面接、保護者アンケートの結果分析から入院治療後の心理的変化について臨床心理学的観点から検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究について施設や研究者の研究協力を得ることが困難であったが、小児期に小児がんなどの過酷な入院生活の経験者を対象に、治療後の心理的問題や継時的な心理変化について臨床心理学的観点から明らかにすることを目的として、心理検査と半構造面接と保護者アンケートを計画し、倫理審査委員会の承諾を得、調査研究を実施した。この調査研究は平成25年度も継続して実施し、その結果から入院治療後の心理的問題や心理変化についてまとめ、求められる臨床心理学的ケアについて提言する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は引き続き調査研究を実施する。調査で得た内容を分析し,被験者の退院後の心理的問題についてまとめる。心理検査や半構造面接分析の結果については,複数の臨床心理士に評定を依頼する予定である。これらの結果から,過酷な入院治療の経験者への心理ケアとして臨床心理学的観点から考察し,成果を発表する。 また,調査実施については,2大学の倫理審査を経た研究計画に即して実施しているが,できるだけ学校を休みたくないという被験者の希望に添い、負担を少なくするためにも夏休みなどの休校期間を活用することになる。そのため,調査期間も予定より長びく可能性があるが,これについては、被験者の負担を軽減することを優先し、調査実施と結果分析を並行して行うなどの対処をする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費については、被験者に研究協力の謝礼として使用する予定である。また、結果分析において、半構造面接のデータまとめを依頼する費用と、結果分析の評価において、臨床心理士の協力を得る予定であり、その謝金や交通費が発生する予定である。
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