平成25年(2013年)度は、当該年に来日し日本語研修を受けたインドネシア人介護士候補107人、看護師候補48人、フィリピン人介護士候補81名を対象として、研修開始から1月後にストレッサ、ストレス反応、コーピング、心身症状を問う健康査定を実施し(1月後に結果を返却)、メンタルヘルス研修(ストレスの構造の理解、リラクセーション・アクティベーション実習)を実施した。また研修終了直前に再度健康査定を実施し、結果の返却時に振り返り研修を行った。 さらに平成23年度に来日し、平成24年度の看護師試験に合格し病院勤務のインドネシア人看護師に対して面接を実施し、看護師試験に合格するまでの経緯、病院での待遇、心身の健康状態の変化、後輩たちへの思いなどについて聞き取った。 本科研によるものを含め、平成20年から通算6年間にわたるインドネシア人看護師候補267名、介護士候補356名、およびフィリピン人看護師候補237名、介護士候補189名に対する健康査定結果についての詳細分析を実施し、その一部はアジア健康心理学会シンポジウムにて報告した。 二国間の比較に焦点を当てると、ストレッサ得点はフィリピン人グループが高かったが、ストレス反応と心身症状の得点はインドネシア人グループが高かった。ストレス反応の下位因子については、不安と怒り得点はインドネシア人グループが高かったが,ポジティブ思考と引きこもり得点はフィリピン人グループが高かった。両国人とも身体症状のうち皮膚の乾燥症状を訴えたものが多かったが、インドネシア人グループがより強い症状を訴えた。 これらの研究成果を元に、両国看護師・介護士候補を対象とした国内医療施設での就労と国家試験への取り組み、および医療機関就労後の心身の健康維持に関する情報提供をWeb(Home PageならびにFacebook)を通じて行う体制を構築した。
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