研究課題/領域番号 |
23653215
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
今田 純雄 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90193672)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 食行動 / 肥満 / 過食 / 思考バイアス |
研究概要 |
栄養-健康信念の強固さおよび思考バイアス(特に確証バイアス)の構造を測定するための尺度項目を作成した。作成にあたっては連携研究者の協力を得た。またこれまでのおこなってきた研究成果ならびに連携研究者らがおこなってきた研究成果を整理・統合し,より汎用性に富むダイエット行動測定質問紙の項目作成をおこなった。また,本年は本研究課題に直接関連した展望論文一点ならびに研究論文一点を公刊した。前者は「食行動と生活習慣病-過食性肥満に焦点をあててー」と題するものであり,厚生労働省がおこなっている特定健康診査・特定保健指導をとりあげ,心理学の観点から過食行動の変容可能性について論じたものである。後者「Survey Monkey を用いた『食事バランスガイド』教育プログラム作成の試み」と題するものであり,インターネットを介した新たな栄養教育方法を提案し,かつ実際に試みた結果を紹介したものである。現在,少なくとも日本において肥満者の増加率は小康状態にあるが,地球レベルでみると肥満者は増加し続けている。本研究は,「つい食べ過ぎてしまう」心理を解明し,過食という行動的側面から過食抑制(肥満解消)の行動介入をより効率化する手法を提案することを最終目標としている。本研究は単なる肥満解消だけでなくQOLの向上といった,より広範囲の「健康」を問題意識化しており,過食問題にとどまらず飲酒,well-being,睡眠といったテーマについても幅広く検討していきたく考えている。研究実施計画に従い本年(初年度)はその準備段階として十分な研究成果があったものと評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3カ年で計画しており,1) 栄養-健康信念尺度の標準化,2) ダイエット行動に関する経験的データの収集,3) ダイエット行動測定質問紙の作成,4) ダイエット行動従事者における確証バイアスの検証,5) 日常の食鼓動の測定の5つを具体的な作業として予定している。本年(初年度)は,1) および3) に相当する作業をおこなった。次年度に予定している3) および4) の準備作業といえるものである。また本研究に直接関連する内容の論文2点を公刊した。さらに,連携研究者との会合をもち,3) 4)の作業をより効率的に実施できる準備をおこなった。以上のことより,研究計画はおおむね順調に進行しているとみなされる。
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今後の研究の推進方策 |
1) 一般学生(女子大学生)を対象としたデータの収集を計画している。これはSurveyMonkeyならびにMoodleを課したインターネット調査として実施する予定である。Moodleについては,その運用実績には十分なものがあり,問題なくデータ収集にあたれるものと確信している。2) 一般の人々を対象としたデータの収集を計画している。これは1)同様な調査を,調査会社に委託しておこなう予定である。これまで同種の委託調査は数度にわたっておこなってきており,その経験からも可能であると考えている。ただし,予算が限られていることから制約が生じた場合は代替措置を検討する。3) 肥満解消の保健指導を受けている人々を対象としたデータ収集を計画している。これは1), 2) 同様な調査を保健センター等で実施する予定であり,現在交渉中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主たる支出は,調査会社への調査委託費となる。また,連携研究者ならびに調査協力施設との会合に為の移動旅費,収集したデータならびに研究関連資料の整理をおこなってもらうアルバイト人件費を予定している。本研究に特化されない支出(パーソナルコンピューターなど)は支出しない予定である。
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