研究課題/領域番号 |
23653215
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
今田 純雄 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90193672)
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キーワード | ダイエット / 意志決定 / 確証バイアス |
研究概要 |
「頑固さ」測定に使用予定の「確証バイアス」に関連する設問については,近年のKahneman, D.らの研究成果を基に再検討をおこなった。すなわち,近年における意志決定理論研究の進展を反映させ,システム1とシステム2の交互作用という観点から見直すこととした。「頑固さ」をシステム1への固執という側面から検証していく。「ダイエット行動」については,昨年において100名規模の予備調査をおこない,その結果をもとに調査項目の精査,整理をおこないつつある。システム1への固執については複数の関連研究が公表されているがダイエット行動との関連性ついては研究発表はされていない。本研究が,仮に両者の関連性を証明することができれば,ダイエット行動理解の一助となるのみならず,意志決定研究の分野においても一定の貢献をするものと期待される。 全体の進行が当初予定より遅れ気味である。インターネットを活用したおおがかりな調査となるために慎重を期して準備してきたが,最終年度である本年の比較的早い時期には調査を終える必要がある。なおインターネット調査については,昨年において別テーマについて実施しており,方法論的に問題のないことを確認している。項目(設問)を早急に確定させ,本調査を速やかに実施していく。 本研究は「挑戦的萌芽」という性格から,理論的基礎が必ずしも十分ではない状態からスタートした。失敗し続けても継続されるというダイエット行動従事の「頑固さ」を,意志決定プロセスの観点から検討するという当初目的を果たすべく鋭意努めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1,個人差の観点から確証バイアスへの陥りやすさを検討しているという内容の研究がきわめて少なかった為である。意志決定研究の進展を精査することにより,ようやくシステム1とシステム2の交互作用という観点から測定していくことが妥当であるとの確信を得た。 第2,ダイエット行動の実態と固執傾向を測定するに妥当かつ信頼のおける設問の設定に手間取った為である。現在,予備調査データを精査しているところであるが,十分に統計的信頼性,妥当性を満たすであろうと予想される設問を構成することができつつある。
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今後の研究の推進方策 |
本調査に入る前に,第2回目の予備調査を計画している。これを5月中におこない本調査は7月に行う予定である。また,調査データはただちに処理可能なデータファイルとして納品される予定であり,それをもって仮説の検証をおこなう。さらに,多変量解析の一環として影響説明モデルの作成をおこなっていく予定である。影響説明モデルの作成については,昨年において別テーマについてすでにおこなっており,技術的な問題は生じないものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
主たる支出はインターネット調査の委託料である。次年度繰越額の範囲内で調査委託料をまかなえる見込みである。結果の分析には統計の専門家の協力を仰ぐ予定であるが,その為の謝金,出張経費が不足することが見込まれる。不足した場合は,本研究経費以外の転用可能な経費(勤務先の大学より支給される個人研究費など)により補填する。
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