研究実績の概要 |
過年度において,Analytic thinking task(Evans, 2003) 3問より批判的思考の程度を測定し,それとダイエット行動との関連を検討したが,明瞭な関係性がみられなかった。本年度は,両者(批判的思考,ダイエット行動)に関連する変数としての衝動性に注目し,衝動性とダイエット行動ならびに批判的思考との関係性について検討した。対象としたサンプルは,15才から59才までの女性約1000名である。衝動性については,2種類の質問紙を準備し,非機能的衝動性,機能的衝動性,慎重さ,衝動的行動,非衝動的思考,注意力欠如の6尺度を標準化した。批判的思考の傾向と,慎重さ及び非衝動的思考とは正相関し,非機能的衝動性及び衝動的行動とは逆相関という結果が得られた。意味的妥当性の認められる結果といえる。 偏食尺度を構成する4つの下位尺度と衝動性との関連を検討すると,偏食傾向は,非機能的衝動性および衝動的行動とつよい相関(>.40)をもつことが判明した。ダイエット行動と衝動性ならびに批判的思考との関連性については現在分析中である。衝動性が高いとシステム1思考法が重視され,そのことが非合理的なダイエット行動を引き起こすという可能性についてモデル化が可能かどうかを検討している。なお,非機能的衝動性および衝動的行動とは,外食傾向ならびにBMI(体型指数)との正相関が得られており,非合理的なダイエット行動が(本来との目的とは逆の)体重増加を導いている可能性も示唆される。早急に分析作業をすすめ,これらの仮説を検証していきたい。
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