研究課題/領域番号 |
23653216
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
安達 圭一郎 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (90300491)
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研究分担者 |
上野 徳美 大分大学, 医学部, 教授 (50144788)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マンモグラフィ検診 / 受診促進プログラム / 縦断研究 / 健康開発 / RCT |
研究概要 |
(1) 研究内容 平成23年度~24年度は、低迷するわが国のマンモグラフィ検診受診率促進プログラム作成のために、基礎的研究を進めている。具体的には、ネット調査を通じて全国の40歳以上女性から、縦断的な大規模データの収集を行っている。計画として、平成23年9月、平成24年1月、平成24年5月の3回を予定しており、現段階では、第2回目調査まで終了した。第1回目は全国から1,680名(48.44±7.07歳)、引き続き第2回目ではその内1,319名(49.15±7.18歳)が、本研究に参加した。残り1回を待って、マンモグラフィ検診受診の心理社会的阻害要因、促進要因を浮き彫りにしたい。 一方、心理社会的要因検討の目的から、被験者の不安・抑うつのレベルを簡易にとらえる尺度の作成を試みた。その成果は、平成23年度日本健康心理学会(早稲田大学)でポスター発表を行った。(2) 研究の意義・重要性 低迷するマンモグラフィ検診受診率の心理社会的要因に関して、1,000人以上の全国規模かつ該当年齢対象者に対して検討した研究は初めての試みである。こうした、大規模サンプリングによって初めて、わが国に固有の、検診受診率低迷の心理社会的要因が特定できるものと考えている。そうした意味で、きわめて意義深いデータ収集が可能になっている。 さらに、こうしたデータを様々な実証的観点から多角的に吟味することによって、最終的な目的である検診受診プログラム開発に繋げていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的では、研究1年目~2年目に40歳以上女性を対象に、縦断的視点から受診意図(動機)・行動を規定する心理社会的要因の抽出を郵送法で試みるとある。実際の研究では、郵送法ではなくネットリサーチによるデータ収集に変更となったが、平成23年9月に第1回、平成24年1月に第2回と、全国規模の縦断的データが順調に収集されている(第2回目の対象者脱落率は約20%)。 特に当初は、郵送法でのデータ収集を考えていたため、サンプリングのエリアが九州の複数県に限定されていたが、ネット調査に変更することにより、わが国全体のエリアをカバーできた点は大きいと思う。また、予定通り、1,000人を超えるデータ数が確保されつつある。費用として、郵送料に代わり、ネット調査会社への委託料が約130万円必要となったが、予算額を超過することなく研究が進捗している。 以上のように、研究の進行速度は当初の予定に変わりないが、データそのもののクオリティは格段に上がり、脱落の程度も最終的な対象者1,000人に十分届く。今回、郵送法からネットリサーチへの変更が効果的に働いたものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年5月に第3回目調査を終了させ、有効回収データに基づき統計解析を行っていく。すでに、前年度の段階で、パソコンなどの必要な設備備品は揃ったため、データ入力などの学生協力者への謝金、及び、研究中間報告などのための旅費使用が主たる経費となる。 また、平成25年度には、作成されたマンモグラフィ検診受診促進プログラムの有効性検討を予定している。実験参加者への呼びかけ、資料作成、プログラムの実施、それに伴う結果の分析を漸次進めていく。また、最終報告書作成も平成25年度の重要な課題となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
残された第3回目調査(平成24年5月)を終えた段階で、データ分析を行い、得られた知見の中間報告が主たる経費の使用部分を占める。そのためには、研究分担者との会議も2度程度行い、漏れのない研究報告としたい。 なお、研究報告では、国外学会での報告も視野に入れており、研究費を有効に活用させていただく予定である。
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