研究課題/領域番号 |
23653216
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
安達 圭一郎 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (90300491)
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研究分担者 |
上野 徳美 大分大学, 医学部, 教授 (50144788)
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キーワード | マンモグラフィ検診 / 縦断研究 / 受診促進プログラム / 健康開発 |
研究概要 |
①研究内容 平成23年度に引き続き、マンモグラフィ検診受診促進プログラム作成のための基礎的研究を継続している。平成23年9月に始まったネット調査による全国40歳以上女性からの大規模データ収集は平成24年5月で終了し(合計3回)、最終的に1,030名(平均49歳、SD = 7.2, range = 40-69)が縦断調査を完了した。平成24年度は、第2回目(平成24年1月)までの調査結果をまとめ、第25回日本サイコオンコロジー学会(福岡:九州大学)において『中高年期女性のマンモグラフィ検診受診行動に及ぼす心理社会的要因の検討(I)』と題してパネル発表した。対象女性の平均年齢は48歳(SD = 7.1, range = 40-69)であった。 第2回目調査におけるマンモグラフィ検診受診行動をアウトカムとした共分散構造分析の結果、全分散の48%を説明し、かつ良好な適合度をもつ因果モデルが観察された。受診行動には過去の受診経験や受診意図が大きく影響すること、さらに受診意図には「乳がん罹患に対するリスク認知」「乳がん罹患によって生じる不安や恐怖」がマンモグラフィ検診に対するポジティブな信念を媒介として強く影響することが分かった。 ②研究の意義、重要性 厚生労働省が推奨する1~2年に1回のマンモグラフィ検診受診対象年齢である40歳以上の女性を対象に、全国からランダムに1,000人規模のデータを収集できた意義は非常に大きい。しかも、こうした女性のデータに基づき分析をおこなったため、結果そのものの信頼度も高いと考えている。さらに、複数の時点における縦断研究である点も今後のマンモグラフィ検診受診プログラム作成に対する貴重な情報源となった。25年度は、全3回の縦断調査をまとめ、英文論文として学術雑誌に投稿する予定にしている。また、その結果に基づいて、受診プログラム作成をおこないたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は、全3回の縦断研究をまとめ中間報告をおこなうことを目的としていた。初期の目的以上の成果が得られた。特に、ネット調査に移行することにより、全国に滞在する40歳以上の女性を対象に、全3回の縦断的デザインによる1,000人規模のデータ収集が可能となった。 報告面では、第2回目調査までの結果を日本サイコオンコロジー学会でおこない、さらに、全3回調査のまとめをすませ、論文化し英語雑誌に投稿する準備が整った。 以上のように、当初の研究予定を順調に消化しており、25年度で、雑誌の投稿、マンモグラフィ検診受診プログラム作成に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究のデータをまとめ、国際的なジャーナルに投稿する。現時点で、英語論文の作成は終了しており、投稿の後、受理されることを待つばかりである。 また、基礎研究に基づいたマンモグラフィ検診受診プログラムを作成したい。こうした実証研究に基づくプログラム作成は、わが国では他に例を見ない。ただし、中間報告に位置づけた英文による国際ジャーナルへの投稿とその受理に多くの時間が費やされる可能性がある。できるだけ早急にプログラム作成に着手し完成をみたいが、有効性研究を遂行する時間的余裕が残されているか微妙なところである。
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次年度の研究費の使用計画 |
プログラム作成のための会議、学会における研究報告、最終的な報告書作成に研究費を有効に活用させていただきたい。 特に、プログラム作成の情報源として、欧米において科学的根拠の高い心理療法である対人関係療法の研修を、海外で受ける計画も立てている。 可能な限り実効性の高いプログラムとするためにも、わが国では学習できない研修をこの機会に是非体験しておきたい。
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