わが国における中高年期女性のマンモグラフィ検診受診行動に影響する要因について、全国に在住する40歳~69歳女性を対象にネット調査による8か月間の縦断研究をおこなった。 その結果、①「乳がん発症に対するリスク認知」や「乳がん発症によって予想される不安」はマンモグラフィ検診受診意図や受診行動を促進する、②マンモグラフィ検診に対する肯定的イメージは、受診意図を促進する、③乳がん・卵巣がんの遺伝負因や本人自身の発症経験は、受診行動を促進する、④マンモグラフィ経験者の研究機関内における再受診率は90%であるのに対して、未経験者の受診率は10%に満たなかった、⑤マンモグラフィ未経験者の場合、乳がんやマンモグラフィに関する情報収集をおこなった者は、情報収集をしない者に比べて6倍もの確率でマンモグラフィ検診受診にいたった、ことなどが明らかになった。 以上のことから、乳がんやマンモグラフィに関する正確な知識が、誤ったリスク認知、がん不安、マンモグラフィ検診イメージを修正し、結果的にマンモグラフィ検診受診行動に促進することが示唆された。 残念ながら、今回の研究期間内で受診促進プログラムの開発及びその有効性検討にまでは至らなかったが、今後の課題としたい。
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