研究課題/領域番号 |
23653217
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
山本 茉樹 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40598364)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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キーワード | 邦人海外渡航者 / メンタルヘルスサービス |
研究概要 |
本研究は、渡航前から帰国後までの邦人海外渡航者のメンタルヘルスサービスの需要及び課題を探索的に明らかにすることを目的としている。 まず、海外へ進出している従業員が2,000名以上の大手事業場のうち、承諾を得られた海外人事関係者を対象に半構造化面接を行った。本調査では、2012年2月までで16社から大手事業場が取り組んでいるメンタルヘルスサービスの現状や抱えている問題、さらに専門機関に求めるサービスについて情報を得ることができた。次に、メンタルヘルスサービスを受ける側である海外へ渡航する邦人を対象に、抱える心理的不安等を探索的に明らかにすることも目的とし、半構造化面接を行った。本調査では、偏った特徴を有する一部の渡航者だけでなく、様々な渡航目的を有する渡航者(41名)を対象に行うことができた。これらの聞き取り調査から、今後海外へ渡航する邦人のメンタルヘルス問題の発症予防、早期危機介入、再発防止について検討していく上で重要な見解を得られたと考える。 さらに、主に1次予防を目的として渡航前の渡航者へ簡易版啓発教育冊子(仮版)を配布し、渡航後3ヵ月を目処に冊子が渡航前・渡航中・渡航後にどの程度役立ったか、また足りなかったと思われる情報について、メールにてアンケート調査を行った。アンケートの回収率は19%と低かった。また、簡易版をもとに冊子『海外滞在中のこころの健康 快適な海外生活を送るために』の作成を行った。冊子には、メンタルヘルスに関連する問題や症状の重篤化を予防するための取り組みとして、セルフケアをはじめ、専門家へ援助を要請することの必要性について記載した。海外へ渡航する邦人にとってメンタルヘルスに関する情報は少なく、このような冊子は有用であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
邦人海外渡航者調査において、渡航関係者である大手事業場への聞き取り調査及び、渡航前の邦人渡航者への聞き取り調査を遂行することができた。一方、渡航関係者と位置付けている医療従事者及び旅行代理店等への聞き取り調査が終了していない。これまで収集したデータからだけでは、渡航者全般のメンタルヘルスサービスの需要と課題を、渡航前・渡航中・渡航後の3つの視点から抽出することが難しく、また課題に対する具体的対策について検討できていないため、上記のとおりの評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、渡航関係者(旅行代理店等)へのメンタルヘルスサービスの需要と課題に関する聞き取り調査及び、これまで行った面接調査の分析を行う。また、当初の計画からの変更点として、本年度はこれまでの面接調査で得られたデータをもとに学会発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画予定よりも得られた協力者数が少なく面接調査期間の延長を行ったため、計画している邦人海外渡航者調査における渡航関係者への面接調査が終了していない。そのため未使用額については、面接調査を行うための費用、面接調査より得られたデータの解析、さらに学会発表等を遂行するための経費に充てる計画である。
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