我々はこれまで、主にマウスを用いて、攻撃行動、性行動、養育行動などの社会行動の基盤となる個体間認知にかかわる脳内ホルモン機構についての解析を進めてきた。本研究では、さらに、個体間行動が、集団内の社会的構造の構築にどのように関わっているのかについて理解するために、新たな動物モデルを確立することを目指した。そのために、群れの中の個体間の絆が強く、社会的性決定機 構により各個体の地位が明確に定義できる性転換魚であるカクレクマノミを用いた行動観察を行うこととした。最終年度となった25年度には、もともとは体重差が最小になるようにして組み合わせた8ペアのうち、2年後まで生き残った2ペアを対象として、これまでに確立した社会行動レパートリーをもとに行動解析を行った。その結果、ペア形成の2年後に社会的に優位な行動を示す個体は、1)劣位の個体に比べて体重、体長とも勝っていること、2)最初にペア飼育を開始した2日後には、すでに優位行動を示していたことがわかった。現在、これらのカクレクマノミの脳および生殖腺の組織の解析を進め ている。
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