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2012 年度 実施状況報告書

姿勢が触定位に及ぼす影響:姿勢による身体像の変化

研究課題

研究課題/領域番号 23653222
研究機関東京海洋大学

研究代表者

下野 孝一  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (70202116)

研究分担者 江草 浩幸  相愛大学, 共通教育センター, 教授 (90168774)
キーワード触覚 / 触誤定位 / 体位 / 身体像 / 評定法
研究概要

本研究の目的は、われわれが観察した“触誤定位現象”(足で頬を触っても“手”で触っているという感覚が生じる現象)を詳細に調べることにより、自己受容感覚が触定位に及ぼす影響について調べることである。そのためにわれわれは被験者にいくつかの体位をとってもらい、そのときに手あるいは足が体表に触っている感覚の程度を聞いた。その結果、その感覚の程度は低いものの誤定位現象は、多くの被験者(22名中19名)で生じた。われわれは本現象を説明するために、分散拡大仮説を提案し、仮説の妥当性を誤反応と反応時間を指標に実験的に調べた。その結果、反応時間の指標では体位の効果はなかったが、誤反応では差があった。この結果は、反応時間を処理する機構と誤反応を生む機構がある程度独立であることを示唆している。さらにわれわれは、本現象は従来の触誤定位現象と違い、「極端な体位は身体像(体の部位の位置に関する意識)が混乱するためである」という枠組みで説明できると考えている。本年度の研究結果は、日本心理学会(2012、東京)において発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、前倒しで実験が行うことができ順調な進展であったが、前年度の実験は予定どおりとはいかなかった。というのは、前年度は床面から45度の傾きもった面上で体位の効果を測定予定であったが、このような傾き面上で体を折曲げることは、被験者にとって予想以上に苦痛であったことである。そこで予定の修正を試み、”触誤定位がおこりやすい条件を探す”という方向に研究の方向を変更した。その結果、まだ観察のみであるが、誤定位が生じると思われる条件を見出した。その条件とは、椅子に座り頭をおり曲げ、膝と頬が接触した状態である。この状態で両手のそれぞれでそれぞれの足の膝を触ると、膝ではなく手が頬を触っているという感覚が生じる。本年度は、多くの被験者を使いこの現象が生じるかどうかについて調べたい。
昨年度は研究方向の修正をすることとなったが、修正は今のところ順調に推移しており、初年度の進展具合を考えれば、全体として研究は順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

椅子に座り頭を前方に深く折曲げ、膝の間に頭が入るようにすると、ある人々は、膝と頬を接触させることができる。この状態のときに、左右それぞれの手で左右それぞれの足の膝を触ると、膝ではなく手が頬を触っているという感覚が生じる場合がある。この現象はわれわれが触誤定位と読んでいる現象とよく似ている。この現象の類似性は、触誤定位が極端な体位のために生じているという考えの一般性を示唆している。本年度は、この現象がどれほど一般的であるかを実験的に調べる。実験では、椅子に座ったまま(頭部を曲げないで)両手で頬を触る条件、頭部を曲げて頬と接触する条件、頭部を曲げて膝の間に入れ手で頬を触る条件で、足が触っている感覚と手が触っている感覚を評定させる。被験者は20名程度を予定している。さらに実験手続きの妥当性を確認するために、床に寝そべったまま両手で頬を触る条件、床に座り足を前に伸ばしたまま両手で頬を触る条件、床に座り足を開脚したまま体を折り曲げて、両手で頬を触る条件で、足が触っている感覚と手が触っている感覚を評定させる。被験者を20名程度予定している。

次年度の研究費の使用計画

本年度は平成24年度未使用見込み額を含めて110万円が所要見込み額である。
本年度は、今までの研究成果をまとめ、国際学会(Psychonomic Society)と国内学会(基礎心理学会、知覚コロキウム)に発表する予定であり、学会参加費、旅費として60万円を計上している。研究結果はまた、論文としてPerceptionに投稿予定で、論文の校正費用として15万円を予定している。さらに、共同研究者との打ち合わせの経費に12.5万円を計上する。実験は2重盲件法を使って行う。そのために、実験補助者を2名雇用予定である。実験補助者は実験の実施、及びデータ整理も行う。この費用と被験者代として15万円を計上する。また、研究分担者の分担金として7.5万円を計上する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Apparent depth of pictures reflected by a mirror: The plastic effect2012

    • 著者名/発表者名
      A. Higashiyama & K. Shimono
    • 雑誌名

      Attention, Perception, & Psychophysics 74(1522p~1532p)

      巻: 74 ページ: 1522-1532

    • DOI

      10.3758/s13414-012-0346-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 立体視アノマリー研究小史:眼性課題の成績,立体視アノマリーの分布2012

    • 著者名/発表者名
      相田紗織・下野孝一
    • 雑誌名

      心理学評論

      巻: 55 ページ: 264-283

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Three-dimensional visual space: Phenomena, theories, and applications2012

    • 著者名/発表者名
      K. Shimono, & A. Higashiyama
    • 雑誌名

      Japanese Psychological Research

      巻: 54 ページ: 1-3

    • DOI

      DOI: 10.1111/j.1468-5884.2011.00508.

  • [学会発表] 構成要素数の過大推定現象:2 次元刺激と3 次元刺激の比較2012

    • 著者名/発表者名
      相田 紗織,草野 勉,下野 孝一
    • 学会等名
      日本基礎心理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121103-20121104
  • [学会発表] 垂直頭部位置の変化による垂直視方向の偏位効果2012

    • 著者名/発表者名
      草野 勉,相田 紗織,下野 孝一
    • 学会等名
      日本基礎心理学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121103-20121104
  • [学会発表] 3 次元立体視空間における数の過大推定現象2012

    • 著者名/発表者名
      相田紗織・草野勉・下野孝一
    • 学会等名
      日本視覚学会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      20120806-20120808
  • [学会発表] 単眼視方向の両眼捕捉とデフォルト面仮説 ―頭部位置の効果―2012

    • 著者名/発表者名
      草野勉・相田紗織・下野孝一
    • 学会等名
      日本視覚学会
    • 発表場所
      山形
    • 年月日
      20120806-20120808
  • [学会発表] 上体の位置と触定位錯誤2012

    • 著者名/発表者名
      下野孝一・江草浩幸・東山篤規
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-09-11
  • [備考] 東京海洋大学 産学・地域連携推進機構 研究者総覧データベース

    • URL

      http://olcr.kaiyodai.ac.jp/db/profile.php?yomi=SHIMONO,Koichi

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公開日: 2014-07-24  

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