本研究は,エピソード記憶がもっている,過去の記憶を再体験するかのごとく想起する機能を,過去の体験をありありと感じる状態であるノスタルジア(なつかしさ)との関係から明らかにしようとした。近年のエピソード記憶研究においては,単に過去の出来事を思い出すということではなく,自分が経験した出来事をあたかも再体験しているかのごとく思い出す(mental time travel)という意識状態(autonoetic consciousness)が重要であると考えられている。ノスタルジアを非常に強く感じた際には,そうでない場合にくらべて再体験感が強く感じられることが明らかとなった。
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