研究課題
聴覚、視覚における空虚時間の知覚に関して新しい実験パラダイムを構築した。まず、三つの短音で区切られた隣接する二つの空虚時間の長さが、等しいか等しくないかのいずれに感ぜられるかについて知覚判断を求めると同時に、脳磁図を記録したデータを別の研究プロジェクトを通じて入手し、多変量解析による分析を試みた。その結果、同じ刺激パターンに対して異なった判断が生ずることに対応して、刺激パターンが始まってすぐに脳活動の違いが生じはじめることが判った。一方、視覚刺激を用いて、物理的に等しい時間間隔が、固定したランダム・ドットの連続呈示で満たされている場合と、変化するランダム・ドットの連続呈示で満たされている場合とを比べた場合、後者のほうが長い時間に感ぜられることを確かめた。次に、音声のリズムについて、音声の時間構造をどのくらい崩すと、もはや言葉としては聴きとれなくなるのかを、一定の時間間隔ごとに時間波形の時間軸を逆転させたり、スペクトルを平均して変化をなくしてしまったりすることによって調べた。一貫して数十ミリ秒程度の時間分解能が音声知覚には必要であることが示された。データベースに含まれる中国語音声におけるスペクトルの時間的変化について、臨界帯域フィルターごとのパワーの時間変化を、因子分析によって3個程度の因子の因子得点の変化として表した。以前に行なった分析では、日本語音声に対して約 0.3 秒の、英語音声に対して約 0.5 秒の周期性が認められたが、中国語音声に関しては、0.3-0.5 秒を含む広い範囲にわたって周期性の生じうることが判り、言語間のリズムの違いが明らかになった。このように、実時間コミュニケーションとリズム知覚、時間知覚との関係について考察を進める基盤を構築することができた。
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Acta Psychologica
巻: 147 ページ: 111-121
10.1016/j.actpsy.2013.10.003. Epub 2013 Nov 5.
Front. Psychol
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