研究課題/領域番号 |
23653234
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝夫 岩手大学, 教育学部, 教授 (70211779)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シュタイナー教育 / シュタイナー学校 / ヴァルドルフ学校 / 教員養成 / 法的地位 / シュツットガルト自由大学 |
研究概要 |
本研究は、シュタイナー学校(ヴァルドルフ学校)とその教員養成機関の法的地位の獲得大過程とその意義を、ドイツにおける裁判闘争の記録の分析を通して解明することを目的としている。研究実施計画に基づきながら進めた平成23年度の研究実績は以下の通りである。(1)シュツットガルト自由大学(Freie Hochschule Stuttgart)、自由ヴァルドルフ学校連盟、バーデン・ヴュルテンベルク州立図書館への訪問と資料調査を行い、本研究を進める上での基本的な資料の収集を行うことができた。(2)シュタイナー学校の教員養成機関であるシュツットガルト自由大学が、州政府によって1999年に正式な「大学」として認定される過程、とりわけ連邦行政裁判所判決(1993年)に至る裁判資料(特に関係法令と判決文)を収集することができた。現在その資料を分析中であり、これによりシュツットガルト自由大学が「大学」としての法的地位を獲得したことの意義を解明する見通しを得ることができた。(3)シュツットガルト自由大学が「大学としての法的地位を獲得したことの意義を解明する基礎作業として、ルドルフ・シュタイナーの教員養成論の分析を行い、特に人間の内面的能力が芸術的体験を通して「覚醒」されることの重要性を析出することができた。この分析結果から、シュツットガルト自由大学をはじめとするシュタイナー学校の教員養成機関においては、そこでの教員養成カリキュラムの中で「芸術」の授業が必修化され、極めて重要な位置付けとなっていることの理論的背景を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書には、平成23年度の研究実施計画として3項目を記載しておいた。このうち、第1項目のドイツの私立学校に関する法規定の収と分析については、主要な著書とドイツ各州の法規定の収集は完了し、分析が進行中である。第2項目のシュタイナー学校とその教員養成機関の発展過程に関する資料の収集と分析については、入手可能な主な資料は入手することができ、その分析が進行中である。第3項目の関係機関への訪問調査と関係資料の収集に関しても、最も重要な機関であるシュツットガルト自由大学と自由ヴァルドルフ学校連盟への訪問調査と資料収集を実施することができた。バーデン・ヴュルテンベルク州文部省と学術省への訪問調査は平成24年度に行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究実施計画に沿って、以下の3つの側面から研究を推進する。 まず第1に、平成23年度に収集した資料に基づき、最も代表的な教員養成機関であるシュツットガルト自由大学が「大学」としての法的地位を獲得する過程の本格的な研究を遂行する。関連して、バーデン・ヴュルテンベルク州文部省と学術省への訪問調査も行う。 第2に、現在、「大学」としての国家認定の手続きの過程にあるマンハイム自由大学への訪問調査を行い、国家認定手続きの遅れの要因や今後の見通しについて分析を行う。第3に、シュタイナー学校の財政支援請求権を巡る裁判闘争に関する予備的調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的には、交付申請書記載の研究費使用予定内訳の通りの執行を予定している。特に、上記の今後の研究の推進方策にも記載されているように、バーデン・ヴュルテンベルク州文部省と学術省、マンハイム自由大学等への訪問調査を行うための旅費として、35万円を予定している。また、本研究を遂行するための関係図書や消耗品の購入を目的とする物品費として、13万円を予定している。最後に、資料複写のために、その他として2万円を予定している。
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