研究課題/領域番号 |
23653234
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝夫 岩手大学, 教育学部, 教授 (70211779)
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キーワード | ヴァルドルフ教員養成 / シュタイナー学校 / 法的地位 / 等価性の原則 / シュツットガルト自由大学 |
研究概要 |
本研究は、シュタイナー学校(ヴァルドルフ学校)とその教員養成機関の法的地位の獲得過程とその意義を、ドイツにおける裁判闘争の記録の分析を通して明らかにすることを目的としている。研究実施計画に基づき研究を行い、平成24年度の主な研究実績は以下の通りである。 1.ドイツにおける代表的なシュタイナー学校の教員養成機関であるシュツットガルト自由大学とヴィッテン・アンネン教育学院への訪問調査および資料調査を行い、本研究遂行に必要な資料収集とインタビューにより有益な知見を得ることができた。 2.シュツットガルト自由大学が私立大学としての国家認定を獲得する過程、特に裁判闘争の記録の分析から、戦後ドイツの私立学校法制で構築されてきた「等価性の原則」に基づいて国家認定への道が切り開かれたこと、そしてこのことは教員養成の国家独占の否定という画期的意義を有するものであることを明らかにした。 3.今年度の研究成果をまとめて、日本教育学会の機関誌「教育学研究」に投稿した結果、採択となり、平成25年3月刊行の第80巻第1号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載しておいた研究目的では、①ドイツにおけるシュタイナー学校の法的地位をめぐる交渉・裁判闘争の展開過程の解明、②ドイツにおけるシュタイナー学校の教員養成機関の法的地位をめぐる交渉・裁判闘争の展開過程の解明、この2点が本研究の主たる目的としてあった。研究を進める過程では、この①と②は不可分の関係にあり、特に裁判闘争として表面化したのは、シュタイナー学校の教員養成機関の法的地位をめぐる問題であることが分かり、②の分析を中心に据えて研究を進めた。 平成23年度は私立学校に関する基本法令や基本文献の収集作業を行い、さらに平成24年度は、シュツットガルト自由大学、ヴィッテン教育院および自由ヴァルドルフ学校連盟の訪問調査と関連資料の収集を行うと共に、収集した資料の分析作業を行い、その結果は、「ヴァルドルフ教員養成の法的地位獲得と教員養成の国家独占の指定」(「教育学研究」掲載)として結実した。
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今後の研究の推進方策 |
過去2年間の研究の進展を踏まえ、研究の最終年度となる平成25年度は、以下の2点に焦点を絞って研究を進め、3年間の研究の総括を行う。 まず第一に、マンハイム自由大学の法的地位獲得をめぐる一連の動きの解明を行いたい。シュタイナー学校の教員養成機関であるマンハイム自由大学は、シュツットガルト自由大学に続いて、「私立大学」としての法的地位獲得を目指したが、結果的には失敗に終わっている。何故に失敗したのか、そしてそれにどの様に対応したのかを明らかにしたい。 第二に、同じくシュタイナー学校の教員養成機関であるヴィッテン教育学院は、「大学」としての法的地位の獲得を志向しないで、国家(州)当局との交渉によって、その法的地位を維持している。ではどの様な交渉過程を経て、また如何なる条件の下で法的地位が保障されていえるのかを明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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