本研究は、シュタイナー学校(ヴァルドルフ学校)とその教員養成機関の法的地位の獲得過程とその意義を明らかにすることを目的としている。平成25年度及び研究期間全体を通じて実施した研究成果は以下の通りである。 1.シュタイナー学校の教員養成機関の中で最も重要な役割を果たしている機関がシュツットガルト自由大学(Freie Hochschule Stuttgart)である。同大学のフッター教授(Prof. Hutter)のご厚意により、同大学が教員養成カリキュラムの認証評価を受信する際に提出した申請書(2010年3月提出)と認証評価機関(AQAS)の専門鑑定書(2013年7月)を入手できた。同時に、フッター教授を通して、同大学の教員養成カリキュラムに関する諸規則も入手することができた。これらの資料を分析することにより、2009年と2010年に、同大学の教員養成コースが公的な認証評価機関によって、「適合」と認定される経緯を明らかにすることができた。特に重要な知見は、同大学における教員養成では、どのコースにおいても、芸術的訓練が必須の要素として位置づけられていて、こうした特質を持つヴァルドルフ教員養成が国家の認証評価機関による審査にパスして、公的地位を獲得したということである。なお、これらの研究成果は、2013年12月に開催された東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター主催シンポジウムにおいて、招待講演者として報告することができた。 2.シュツットガルト自由大学が国家的認定を受けて公的地位を獲得する過程とその意義について、主として裁判闘争の記録の分析を通して明らかにすることができた。また、この成果は、日本教育学会機関誌『教育学研究』第80巻第1号(平成25年3月)に掲載された。
|