ほぼ研究計画通り、小学校6年生、中学2年生2クラス、高校1年生の教室(計4クラス)において「詩の授業」を実践し、授業実践のプロセス(授業前の事前調査、授業の構想、教材と教育方法の決定、授業実施)の質的な分析と同時に、授業の一貫として子どもたちに書かせた詩作品の分析をおこなった。 まず授業前の事前調査の分析を通して、「詩」の読解において、子どもたちがどのような「躓き」をしているのかを明らかにした。即ち、「詩」の読解の躓きは、主に「文脈」を想像することの難しさにあることを明らかにした。またこの「躓き」を乗り越えるために有効な方法を構想し、実際の授業においてその方法が有効であることを明らかに出来た。即ち、「文脈」を想像することが出来ない子どもたちに対しては、教師自らが「文脈」を想像的に提示し、その上で、その「文脈」において「詩に描かれている感情、事柄」を「感じる実験」を子どもたちにさせることで、子どもは「詩」を十全に感じることが出来るようになることを明らかにした。 またさらに、このように「詩」を感じることから、子ども自らが「詩」を書くことへとつなげていくために、教師自らが詩作品を書き提示することが子どもの意欲を深化させることになることを明らかにした。 そして、授業中の子どもたちの発言および「詩の授業」の一貫として書かせた子どもたちの詩作品の分析を通して、子どもたちが「詩の授業」を通して、自己理解、他者理解を深化させていくことが出来ることを明らかにした。
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