人知が極端に高度化した現代知識社会において、「型」の模倣によって人間の身体に蓄積される「知」はいかなる可能性を持ちうるか。これを歴史的に検討するための史資料の蒐集が本研究の目的である。注目したのは江戸時代である。それは、この時代が、近代に先駆けて知識社会への転換が進み、人為・人知による自然環境の開発と身体という内なる自然の羈束とが進行した時代だったからである。この時代は知識社会の萌芽期でありながら、しかしその知は常に自然との折り合いにさし戻され自然から大きくは遊離しなかったことが明らかになってきた。本研究では、知識社会に生きる我々がこのことから得られる示唆を読み解くための史資料を広く蒐集した。
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