近年,就学前の教育・保育において重視されている保護者への支援について,保育経験5年未満の37名の保育者(幼稚園教諭:18名,保育所保育士19名)を対象に,幼稚園や保育所における保護者支援の目標,困難感の実態や,重視していること等について調査した。KJ法を用いて整理したところ,所属や経験年数によらず,多様な支援が見いだされ,とくに送迎時の会話を重視しており,園と家庭の連続性を大切にしながら発達援助や個々に直面する課題に応じて,保育者間での連携の下に支援していることが明らかになった。発達につまずきのある子どもをもつ保護者への支援においては,保護者との子どもをめぐる認識の相違が支援の困難さに結びついており,共通認識をもつよう,丁寧に保護者とかかわることの重要性が示された。このような支援のあり方は,保護者との相互理解や信頼関係の構築を重視しているものであることが確認された。今後の学習ニーズとしては,課題を持つ子どもの保護者や,保護者自身が課題を持つ際の支援が挙げられた。 また,若手保育者によるグループディスカッションでは,若手保育者の課題を掘り起こすことが目的であったが,調査協力者相互に保護者支援の困難感を語り合うことによって,自身の大変さを共有し,さらには対応の在り方を見直すきっかけとなり,研修的な効果も見出すことができた。 保護者支援については,養成期間中に実習などを通じて,実践経験を積むことが難しい。講義における理論知を固めるにとどまる。 今後は,保護者支援にかかわる実践力をどのように養成機関で身につけさせるか,その教授内容や方法について追及することが課題として確認できた。
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