研究概要 |
本年度は、イギリス(UK)とフランスのホームスクーリング(HS)について、その制度と家庭への公的支援の実態を、先行研究、英仏教育省資料、HS推進団体等の資料、英仏への出張と関係者への面談調査により確認した。イギリスの非就学型義務教育(6-15歳)は、1996年教育法によりeducation otherwiseとして可能で、これを選択する家庭に対し国家からの経済的支援は原則無い。地方教育局(LEA)には、経済的支援や、不適切な教育と判断する場合に就学命令等の介入が認められている。2013年度からは、特別支援教育を必要とする場合、国がLEAに配分する「学校特定交付金」(2006年度-)を柔軟に利用し、LEAは各家庭への支援を配慮することになった。他、GCSEなどの中等教育修了試験等の受験費用を支給可能で、実施のLEAはある。また、同年から、14,15歳の子どもでも継続教育やカレッジに就学可能となった。これには、教育助成局(EFA)がカレッジを直接補助し、LEAの支援も保護者負担も無い。他、民間奨学団体による経済的支援が僅かに存在する。2009年のバッドマン報告(Badman Review)で、保護者の虐待や子どもの非行、学力不振が懸念され、翌年の議会にはLEAによるHE家庭の登録や視察を義務づけ等の法案が提出された。 フランスの非就学型義務教育(6-16歳)は、1998年の教育法典に正式な形態として認められ、2007年には通信教育も、同様のl'instruction dans la famille分類となった。これらを選択する家庭への公的経済支援は無い。同年から登録制が徹底化し、年1回は視学官が学習進捗状況を確認(自宅内外)、評価によっては就学が命じられる。未登録や就学命令違反には禁固刑ないし罰金が課せられる。移民問題を抱え、イギリスと同様の危惧から早くに国家統制を強めている。2010年以降、議会では就学義務の徹底を求める法案が再三検討されている。 他に、インドの義務就学の徹底化とHE支援の縮小傾向について分析を継続。
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