研究期間最終年度となる25年度で計画した全ての内容(栽培体験・講義/演習における食育授業)を実施することができた。栽培では4月初旬の高温と遅霜、5月の小雨でジャガイモの生育に支障が生じたが、秋植え、12月収穫の新品種の導入でこれを補った。トマトは実の病変に見舞われ8月の後半にかけて収量が半分に低下した。ここで事後対応で農薬散布を行うのではなく、病変を予期して事前の予防対策が低農薬栽培につながることを後期授業や卒業研究で関係の学生には周知した。25年度は新たに「食育(演習)」(通年授業/30回)を開講した(履修者**名)。内容は「日本の水田」「牧場体験」等の講義部分(全16回)と体験実習として「幼児への食育体験実習」(全4回)、「児童への食育体験実習」(全4回)、「保護者への食育体験実習」(全4回)、「行事食を作ろう(計画/作成)」(全2回)、演習として「和食はなぜグローバルスタンダードなのか(調査/報告)」(全2回)から構成される。その中核は体験実習全14回である。前年度までの各専門科目での対応は、栽培・収穫作業のみであったが、「食育(演習)」では新たに食育体験実習が多く導入した点が特徴である。24年度までは卒業研究で食育活動を導入・実施してきたが、これは対象が研究着手者に限られてしまうため、授業で行うことで履修者全員が体験学習できることは大変意義深い。これにより保育時間における食育活動とはどのようなものかを学ぶことができ、野菜栽培から食育活動までの全課程をカバーすることができた。 本研究は25年度で終了したが、研究代表者が勤務する学科(こども学科)における保育者養成教育に残した本研究の足跡は大きく、学科所属教員の食農教育に対する理解が大きく進んだ。現在では各専門科目においては、学習内容に関連づけが可能な機会があるときは、積極的に大学農園を授業で使用するという状況となった。
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