研究課題/領域番号 |
23653257
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研究機関 | ノートルダム清心女子大学 |
研究代表者 |
福原 史子 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 准教授 (70545988)
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キーワード | コスミック教育 / モンテッソーリ教育 / キャリア教育 / ESD / 小学校外国語活動 / 家庭教育 / 国際情報交流 / アメリカ合衆国 |
研究概要 |
モンテッソーリ教育におけるコスミック教育に焦点を当て、研究の第一人者であるTrudeau,C.M.の業績と環太平洋地域のMontessori Schoolにおける実践に関する調査を基に、本教育の今日的意義を探ることを目的とした本研究は、以下の4つを研究の柱として実施している。平成24年度の研究成果は以下の通りである。 1.Trudeau,C.M.の業績:平成23年度に終えたTrudeauに関する考察から得た方法により、ノートルダム清心女子大学附属幼稚園の年長児を対象にしたコスミック教育を計画し、実践に至ることができた。 2.日米両国のコスミック教育に関する資料収集と考察:米国で開催のAmerican Montessori Society 2012 Annual Conference(平成24年3月)で収集した資料と、日本保育学会65回全国大会(5月)及びモンテッソーリ学会45回全国大会(8月)において収集した資料を基に、日米のコスミック教育について検討しているところである。日本のモンテッソーリ教育が乳幼児期中心であるのに対して、米国では学童期においても盛んであり、コスミック教育をめぐる両国の差が明らかとなった。 3.幼稚園・小学校・家庭・地域でのコスミック教育実践の検討:本学附属幼稚園での実践から、幼児によって興味や関心の抱き方が異なること、加えて教師の取り組む姿勢によっても幼児らの活動に差がでることが明らかとなった。小学校レベルでの実践に関しては検討中であるが、NPO法人連塾が岡山県や地域と協働で開催している小学生対象のキャリア教育の場である「連塾寺子屋」の中で実践できる見通しを得た。 4.コスミック教育の視点を生かした教師や次世代の親の育成の検討:本教育において教師の果たす役割の重要性が明らかになったことを受け、具体的なカリキュラムの作成と実践を次年度の課題としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.Trudeau,C.M.の業績:平成23年度に実施したTrudeauへのインタビュー結果と収集した日米両国の資料を基に考察し、その研究成果を日本カトリック教育学会、日本モンテッソーリ協会(学会)、日本保育学会それぞれの全国大会において口頭発表するとともに、機関誌への論文掲載に至れたことから、目的は達成できているといえる。 2.日米両国のコスミック教育に関する資料収集と考察:日米のConferenceや全国大会に参加し、収集した資料を基に日米両国のコスミック教育について検討しているところである。交付申請当初は日本のモンテッソーリ園におけるアンケート調査を計画していたが、理論や実践面から多くの資料が収集できたため、計画を変更し、資料の分析と研究成果発表を重点的に続けたいと考える。本研究目的に関してはやや遅れている。 3.幼稚園・小学校・家庭・地域でのコスミック教育実践の検討:ノートルダム清心女子大学附属幼稚園において、2年間に渡ってコスミック教育の実践研究をし、成果と課題を導き、全国大会での研究発表及び機関誌への実践報告の掲載へと至れた点から順調に進展しているといえる。また、小学校レベルのコスミック教育に関しては資料収集に留まっているが、平成25年3月にアメリカのダラスで開催されたTESOL International ConferenceにおいてWorld Englishesという新しい視点を得ることができた点と、岡山市において家庭や地域協働のキャリア教育実践研究の場を得ることができた点は計画以上の進展であるといえる。 4.コスミック教育の視点を生かした教師や次世代の親の育成の検討:具体的なカリキュラムの作成と実践が次年度の課題となっている。この点は当初の計画通りといえる。
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今後の研究の推進方策 |
1.Trudeau,C.M.の業績:これまでの研究から得たTrudeauの業績や示唆と、ノートルダム清心女子大学附属幼稚園における2年間のコスミック教育実践の成果を関連付けて考察し、研究成果の発表へとつなげる。 2.日米両国のコスミック教育に関する資料収集と考察:収集した資料の分析と研究成果発表を推進したい考える。日米両国のコスミック教育をめぐる違いを明らかにするとともに、特に日本における小学校レベルのコスミック教育の展開を追究する。加えて、平成25年8月2日に決定しているMontessori International Congressの口頭発表において、コスミック教育の視点から日本の教育の良さを海外に発信していくべく研究及び発表準備を重点的に進める。 3.幼稚園・小学校・家庭・地域でのコスミック教育実践の検討:ノートルダム清心女子大学附属幼稚園におけるコスミック教育の2年間の実践を基に、さらなる実践研究と教材及びカリキュラム開発を継続する。小学校レベルのコスミック教育に関しては、本学附属小学校を研究の場に、幼小連携による本教育の展開を探る。また、World Englishesの視点とコスミック教育を関連させて、小学校外国語活動における本教育の展開についても検討したい。加えて、これまでの研究を通して見つけることのできた岡山県・NPO法人連塾・地域協働のキャリア教育実践の場である「連塾寺子屋」を拠点にコスミック教育の視点を生かしたキャリア教育の実践研究を実施する。 4.コスミック教育の視点を生かした教師や次世代の親の育成の検討:これまでの研究から明らかとなった、コスミック教育を進める際の教師や親の役割の重要性に鑑み、その育成方法について検討する。また、担当する「モンテッソーリ教育理論」や「モンテッソーリ教育実習I・II」「外国語活動教育法」の授業の中で実践を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越が439,686円あり、これは次年度にアメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにおいて開催される国際大会での研究発表への旅費に充てるために繰越したものである。研究計画当初は本研究発表は予定していなかったが、4年に1度開かれる国際大会である Montessori International Congressにおいてまたとない研究成果発表の機会(90分の口頭発表)を授かったことをたいへん幸運に思い、連携協力者と共に参加する決断をした。これにより本額を含めた次年度の研究費(直接経費)939,686円の使用について以下の通り計画した。 1.物品費 50,000円:コスミック教育教材 2.旅費:739,686円:Montessori International Congressへの旅費(3名分) 3.人件費・謝礼等:該当なし 4.その他 150,000円:Montessori International Congressへの大会参加費(3名分)
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