質の高い保育者養成のため認定こども園での実習評価票の現状と課題を明らかにした上で、「認定こども園の現状に即し、且つ、自己評価と実習評価を兼ね備えた」新たな実習評価票を開発する研究である。全国保育士養成協議会が策定するミニマムスタンダード実習評価票と「保育者自己評価項目案」を活用し、幼稚園教諭、保育士、保育教諭養成の実習指導も包括しながら自己評価も可能な新たな評価項目を検討する。 子育て3法の成立により幼保連携型認定こども園には幼稚園教諭免許状と保育士資格を併有した保育教諭が求められる。これに伴い、これからの実習評価票には、認定こども園ならではの実習の課題やメリットなど独自の側面も含めた教育・保育内容が適切に教授される実習指導内容項目に、自己評価観点をも含めた養成校間、保育現場、保育学生自身が相互に共有可能な内容が求められているといえる。その中で幼稚園と保育所機能を兼ね備える幼保連携型認定こども園で最も重要になる項目は「保育者の資質向上」といえる。それは独立した幼稚園と保育所の機能と融合された機能が存在する複雑な組織のなかで保育教諭にはより明確な専門性が求められるからである。 そこで現状の4類型認定こども園や幼稚園、保育所の実習受け入れ体制について調査をした。結果、保育者養成校が幼稚園教育実習または保育実習と位置付ける実習依頼に応じた実習内容を展開する現状にある。したがって幼保連携型認定こども園において保育教諭育成の実習の指導内容ではなく、従来の幼稚園実習および保育実習に準拠した実習方法が採用され、実施されている。 また保育教諭の専門性に新たな専門性が存在するのではなく、幼稚園教諭や保育士に求められる「普遍的な保育者の資質」が基盤であり、資質向上となる最優先課題は双方の組織理解であり、職員間の園内研修や話し合いで相互の専門性の違いを理解し共有されることの重要性が示された。
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