研究課題/領域番号 |
23653260
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90352525)
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研究分担者 |
小北 麻記子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00389694)
花島 直彦 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40261383)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ロボットリテラシー / メディアリテラシー / 不便益 |
研究概要 |
本年度の実施計画は(1)メディアリテラシー教育の分析,(2)ロボットリテラシー実態調査,(3)ロボットワークショップの実施の3項目であった.それぞれについて以下の通り予定通り実施した.(1)メディアリテラシー教育の分析:まず初めにメディアリテラシー教育で用いられるメディアリテラシー調査の手法を詳細に調べ,ロボットを「物理的なインタフェースを有するメディア」と捉えた場合に重要になる要素を抽出した.とくにメディア分析モデルで用いられる「メディア・テクスト」「オーディアンス」「メディアの制作・生産」がそれぞれ「ロボットの機能」「利用者」「ロボットの企画・生産」に対応することを確認してロボットリテラシー分析モデルを定義した.(2)ロボットリテラシー実態調査:(1)で定義したロボットリテラシー分析モデルに基づいて,「ロボットの機能」「利用者」「ロボットの企画・生産」の各軸に対応する問題事例をブレインストーミングの手法で収集した.調査対象となる小学校児童にも容易に回答できるよう,収集した事例を「はい」「いいえ」の二択で答えることができる問題に加工して調査シートを作成した.調査は次で述べるワークショップと併せて実施した.(3)ロボットワークショップの実施:室蘭工業大学に設置されているロボットアリーナを利用して小中学生を対象としたロボットワークショップを実施した.ワークショップではまず初めに生活の中で活躍している身近なロボットについて説明した後,リモコン操作でサッカーゲームを行うロボットの作成実習を行った.実習の前後で(2)で作成した調査シートを用いたロボットリテラシー調査を実施した.調査結果を分析したところ,実習後にはロボットに対するクリティカルな視点が若干増加していることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究については当初計画通りの進捗である.会期スケジュールの関係で,予定していた研究成果発表が行えなかった.これについては2012年度前半に行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
ロボットリテラシーについての調査を行った結果,ロボットに対する意識やその捉え方は年齢や個人による差が非常に大きいことが明らかになった.これらの中から傾向を見つけるためにはより多くのデータが必要になる.そこで多くのデータを効率的に収集するため,インターネットを用いて調査が行えるシステムを開発する.開発するシステムは多くの参加を促すため,災害時教育やモラル教育の現場で実績のある「クロスロードゲーム」をベースとしたウェブサイト上で参加できる簡単なゲームとする.参加者はウェブブラウザやスマートフォンなどの携帯端末を用いて,画面上に表示される設問に「はい」もしくは「いいえ」で答える.全ての質問に答えると最後に診断結果とコメントが表示される.ゲームの結果は随時サーバに蓄積され,分析に用いることができる.このシステムは,データ収集を目的とするほか,次年度に試作を予定しているロボットリテラシー教材のベースとなるものである.作業計画は以下の通りである.4月~5月:システムデザイン,6月~7月:システム構築,8月:システムテスト,9月~10月:テスト運用,11月~3月:システム運用,データ収集,データの分析.
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次年度の研究費の使用計画 |
開催期間の問題から初年度に予定していた会議への参加ができなかった.予定していた経費(旅費および会議への参加費)を用いて初年度の未発表分の成果を発表する.インターネット上で動作するシステムを開発するため,データベースシステムが利用可能なホスティングサービスを利用する.またシステム開発のための資料を購入する予定である.その他,次年度以降の研究成果を発表するための旅費および会議への参加費を予定している.
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